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不動産の売却に不動産鑑定は必要?たぶん不要です!理由を詳しく解説

相続対策 不動産売却
2022.10.17

不動産売却に不動産鑑定は必要か?

「不動産を売るのに不動産鑑定は必要?」
「鑑定と査定の違いは何?」

不動産を売るとき、不動産会社に査定を出せばよいのか、もしくは不動産の鑑定(鑑定評価)をしたほうがよいのか、自分の場合はどちらを選んだら得なのか、疑問に感じますよね。

簡単にいうと、『査定』は実際の売り出し価格を知るために利用するもの『鑑定』は第三者に不動産の価値を提示する必要があるときに利用するものです。

個人が土地や戸建て、マンションを売るのであれば、鑑定は不要。不動産会社への査定で十分であるケースがほとんどでしょう。

なぜなら鑑定が必要となるのは『特殊なケース』だからです。

例えば、複数の相続人がいて、不動産の価値についての見解が異なって揉めるような場合、ホテルやゴルフ場、広大な土地で通常の査定では価格の算出が難しい場合、税務署に提出するための根拠が必要な場合などです。

本記事では不動産鑑定と査定について、それぞれのメリット・デメリットのほか、利用するべきシーンや手続きの流れについて、わかりやすくご説明します。

読み終えたとき、あなたが利用するべきなのは、不動産鑑定なのか、はたまた不動産査定なのか、迷いなく判断できるようになっているでしょう。


監修者情報

印南和行(宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、一級建築士、一級建築施工管理技士、不動産コンサルティング技能士試験合格)
全国不動産売却安心取引協会 理事長。住宅専門チャンネル「YouTube不動産」が「わかりやすくて参考になる」と大好評でチャンネル登録者8万人、総視聴回数2100万回を超える(2022年7月1日現在)。著書に「プロ建築士が絶対しない家の建て方」(日本実業出版社)、「プロが教える資産価値を上げる住まいのメンテナンス」(週刊住宅新聞社)がある。


目次
1.不動産鑑定と査定の違い
 1-1 不動産鑑定とは?メリットとデメリット
 1-2 不動産査定とは?メリットとデメリット
2.不動産鑑定と査定、どちらを頼むべきか?
 2-1 不動産鑑定を活用するべきシーン
 2-2 相場を知りたいだけなら一括査定を利用する
3.不動産鑑定の手続きと手順
4.まとめ


1.不動産鑑定と査定の違い

本章では不動産鑑定と査定、それぞれのメリット・デメリットを解説します。

1−1.不動産鑑定とは?メリットとデメリット

不動産鑑定は、国家資格に合格した不動産鑑定士のみが行うことができる業務です。鑑定による不動産評価は大きく分けて二つあります。一つは国や自治体による地価公示や固定資産税などを調査する『公的評価』です。もう一つは、売買や賃貸借のための資産評価や担保評価をする『民間評価』があります。

鑑定のための費用は、対象となる不動産の評価額によっても変わります。手間のかかるものは費用が高くなる傾向にあります。ホテルやゴルフ場の跡地や山林など、相場の判断が難しい不動産についても、不動産鑑定で価格を算出してもらえます。

相続や離婚の財産分与で税務署や裁判所へ「不動産鑑定評価書」を提出する必要がでてくることもあります。このようなときに不動産鑑定を利用します。

【メリット】
一番のメリットは信頼性が高いことです。鑑定評価書は国の定めた「不動産鑑定評価基準」に従って、不動産鑑定士が作成するため、公的に通用するものです。

たとえば家主が店子に賃料の変更を求める、あるいは求められた場合、相場を客観的に証明する不動産鑑定評価書があれば、トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。

不動産投資についても客観的な判断材料となります。ご自身の投資が適正かどうか不安がある場合などは、不動産鑑定を依頼してみることをお勧めします。

【デメリット】
デメリットは費用がかかることです。不動産鑑定は査定と違って、費用が発生します。その対象物が土地や一軒家、マンションによって金額が変わります。

1回の鑑定報酬は15万~30万円くらいが多いようです。鑑定の難易度が高い場合は、数百万円に及ぶものもあります。報酬額は不動産鑑定士(鑑定事務所)によって異なります。事前に見積もりをとれる場合が多いので、問い合わせをしてみましょう。

鑑定に時間がかかることもデメリットです。鑑定にはヒアリング・現地確認・市場分析・鑑定評価額の算出・鑑定評価書の作成など、多くのプロセスがあります。不動産によっても異なりますが、目安としては約2~4週間です。

より短い期間でできる「簡易鑑定」もあります。目的に応じて使い分けましょう。

不動産鑑定のメリット 不動産鑑定のデメリット
・信頼性が高い

・税務署や裁判所などに提示する資料になる

・費用がかかる(目安15万円〜)

・時間がかかる(目安 約2週間〜4週間)

1−2.不動産査定とは?メリットとデメリット

不動産査定とは一般的に不動産会社が「売却できそうな価格」を算出することです。査定無料という広告がありますが、そもそも不動産鑑定士の資格を持たない者が、不動産評価で報酬を受け取ることはできません。不動産会社が過去の経験と事例をもとに算出するため、査定金額には、ばらつきがあります。

査定はあくまでも不動産を売却するための参考価格。裁判や調停などでの証明力は、鑑定より弱くなるので注意しましょう。

【メリット】
なんといってもメリットは、費用をかけずに売却価格の相場を知ることができる点です。またスピードも早く、簡易査定であれば数時間で結果が分かります。鑑定よりも圧倒的に手軽に物件価格を知ることができる方法です。売却を前提とする査定であることから、より実勢価格に近い金額を知ることも魅力的です。

【デメリット】
無料査定のデメリットは、不動産会社によって経験とノウハウに差があり、その結果として査定額にばらつきが生じることです。不動産会社や担当者によって査定の基準や範囲が異なるので、良い担当者に巡り合えるかどうかが、査定を成功させるポイントと言えます。

以上のことから査定は複数の不動産会社に依頼し、比較することが重要です。

いまはインターネットで複数の不動産会社へ査定依頼ができる『一括査定サイト』があるので便利です。次章で一括査定サイトについて、くわしくご説明します。

一括査定のデメリットとしては、不動産会社からの営業が多くなることです。とくにサイトで査定依頼した直後は、集中的に不動産会社から連絡が入ります。不動産会社は無料査定の依頼主に対して売却を前提として営業します。しつこく強引な営業をかけてくる不動産会社には注意しましょう。

不動産査定のメリット 不動産査定のデメリット
・売却価格の相場がわかる

・査定をいただくだけなら無料

・査定額にバラツキがある

・不動産会社からの営業が多くなる

2.不動産鑑定と査定、どちらを頼むべきか?

本章では、具体的なシーンを想定し、鑑定と査定のどちらを頼むべきか説明していきます。

2−1.不動産鑑定を活用するべきシーン

鑑定は、不動産の価値を客観的に証明する必要があるときに、活用することが一般的です。具体的には次のようなものが挙げられます。

・不動産を相続で揉めそうなとき
・離婚の財産分与で揉めそうなとき
・親族間で不動産を売買するとき
・金融機関への担保額の評価
・相続税の軽減の申告
・ビル・ホテルなど特殊な不動産を売却するとき

具体的なシーンをいくつか挙げてみます。

【遺産の分配】
兄弟の遺産分配で、兄が依頼した不動産会社の査定金額と、弟が依頼した不動産会社の査定金額が違う場合、もめる原因になるでしょう。遺産トラブルを避けるためには、費用がかかっても鑑定することで、信頼できる評価額が算出され公平な遺産分配が可能になります。

【財産分与】
離婚する場合、財産分与請求権により夫婦の財産を精算できます。協議離婚・調停離婚・裁判離婚がありますが、いずれも不動産がある場合はその問題を避けて通ることはできません。財産分与するのであれば、費用がかかっても不動産鑑定を活用することが円満な方法となります。

【共有不動産の分割】
親子、兄弟、夫婦など複数人で所有する共有不動産を分割する場合、不動産鑑定を活用することで、適正な評価額が分かり、公平な分割がしやすくなります。

【相続税の減額】
相続税の金額は、路線価等を基に算出され、高い相続税が課される場合があります。不動産鑑定を行い鑑定評価書を提出することで相続税が減額されるケースがあります。

不動産鑑定を活用すべきケース

2−2.相場を知りたいだけなら一括査定を利用する

シンプルに言うと、不動産売却を検討中の人は、鑑定より査定をすることをお勧めします。価格の証明という点では鑑定が優れていますが、実際の売買において鑑定額はあまり意味をなさないからです。不動産が市場で売買される価格は、その時点での需要と供給のバランスによって決まります。鑑定額と実際の売却額がかけ離れるケースはよくあります。

数社の不動産会社に一度に依頼する『不動産一括査定』が便利です。いまはインターネットの一括査定サイトに、あなたが売却したい不動産の情報を入力すると、数社を査定先候補としてマッチングしてくれます。その中から選んで依頼するという流れです。大手の一括サイトの場合、6社が査定候補先として紹介され、その中から3社くらいを選んで査定を依頼するケースが多いようです。

査定には『簡易査定』と『訪問査定』の2つがあります。簡易査定とは住所や築年数、間取りなどの情報をもとに机上で算出するため、短時間で結果を得られますが精度は低くなります。

訪問査定は、不動産会社の担当者が実際に物件を訪れて査定を行います。建物の内部の様子や周囲の環境、設備を目で確認し、希望価格などのヒアリングもしてくれます。より正確な査定価格を出してもらえる方法です。

訪問査定はスケジュール調整や結果が出るまで一定の時間がかかります。一般的には簡易査定を受けた後に、訪問査定を受けます。

不動産一括査定サイトは複数あり、大手不動産会社が多い、地元の中小が多いなど、それぞれ特色をもっています。各サイトの特色を理解し選ぶことで、あなたに合った不動産会社に巡り合える確率が高まります。

不動産査定を活用すべき

3.不動産鑑定の手続きと手順

不動産鑑定士に土地や建物の鑑定を依頼する場合、各都道府県の不動産鑑定士協会のホームページから、お住いの地域で活動する鑑定士を探せます。不動産鑑定士には、一般住宅が得意、収益物件が得意、など得手不得手があるようです。電話やメールで問い合わせするときは、どんな不動産をどのような目的で鑑定してもらいたいのかを伝えましょう。

続いて料金の見積もりをしてもらいます。 多くの不動産鑑定事務所で見積もりは無料です。見積もりの内容でOKだと判断できれば「依頼書兼承諾書」を交わします。その後、実地調査が始まります。

【手続きの流れ】
1.不動産鑑定士に問い合わせ
2.鑑定してもらう不動産と目的を伝えて、見積もりを依頼。
3.依頼書兼承諾書を作成
4.実地調査
5.鑑定評価書の作成

相談時には、事前に登記簿謄本や住宅地図などを準備しておくと良いでしょう。必要となる書類は依頼内容によって違います。どんな書類を用意すればいいのか、相談時に確認しておきましょう。

鑑定費用については、多くの不動産鑑定事務所は、国が定めた報酬基準である『基本鑑定報酬額表』をもとに設定します。独自の基準で報酬額を設定している事務所もあるので、必ず見積もりを取りましょう。対象不動産の評価額や内容、状況などによっても金額は違ってきます。『所有権が複雑』『借地権が付いている』など調査に手間がかかる不動産は報酬金額が高くなります。

まとめ

相続や離婚などの場面でトラブルなく財産分与をしたいということであれば、不動産鑑定が有効です。

不動産鑑定は国家資格である不動産鑑定士が、国の定める「不動産鑑定評価基準」にのっとり、価格をはじき出しているからです。信頼性が高く、司法・行政機関にも提出できる公的証明力があります。

一方、単に自宅を売却するためなら無料で依頼できる不動産査定がいいでしょう。一括査定サイトで複数の不動産業者に査定を依頼し、比較してみることをお勧めします。

まずは、分からないことがあれば、不動産鑑定士事務所や不動産会社に相談してみましょう。