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相続した不動産を売却するには?名義変更のタイミングや流れを紹介

相続対策 不動産売却
2022.11.14

相続不動産の名義変更はすぐに始めないとヤバい

「相続登記の義務化で、名義変更を急いで行わないといけないのか」
「相続した不動産の名義変更のやり方が分からない」

そんな相続した不動産の名義変更で、お悩みの方も多いのではないでしょうか。

相続した不動産の名義変更は、遺言書の検認や遺産分割協議書の作成が終わり次第、すぐに始めるべきです。その理由は、2つあります。

● 相続登記の義務化により、罰金を支払う可能性がある
● 勝手に名義変更される可能性がある

相続登記は、令和6年4月1日から義務化されます。この改正により、不動産の相続登記は相続の開始およびそれにより所有権を取得したことを知ってから、3年以内に相続登記をしないと罰金(過料)を課される可能性があります。

また遺産分割協議(誰の名義にするかの話し合い)をしても、その結果を登記しておかなければ、相続によって不動産を取得したことを第3者に主張することはできません。

相続人が多数いる場合や相続関係が複雑な場合などは、準備する書類の難易度が高くなるため、司法書士に依頼することをオススメします。手続きが複雑になり、専門知識が必要となるためです。

この記事では、不動産の名義変更のタイミングや流れ、名義変更の費用や期間を紹介します。
司法書士に依頼したほうがいいケースや名義変更の注意点も含めて、わかりやすくポイントを押さえてご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。


監修者情報

西風恒一(司法書士)
1972年兵庫県生まれ。
大学卒業後は教育業界で講師職・管理職を10年間経験し、平成16年から司法書士業界に入る。平成19年に司法書士資格を取得し、すべての分野の実務を経験する。
現役司法書士として実務を行いながら、法律記事のライターとしても多数の記事を執筆・監修している。


目次
1.名義変更は、遺産分割の割合が決まり次第行うべき
 1-1 罰金を課される可能性がある
 1-2 勝手に名義変更されかねない
2.不動産の名義変更の流れと注意点
 2-1 名義変更は自分で手続きできる
 2-2 不動産の名義変更をする流れ
 2-3 名義変更するときの注意点
3.不動産の名義変更にかかる費用と期間
 3-1 自分で手続きをする場合
 3-2 司法書士に依頼する場合
4.まとめ


1.名義変更は、遺産分割の割合が決まり次第行うべき

相続した不動産の名義変更は、遺言書の検認や遺産分割協議を行って不動産の取得者が決まり次第、すぐに行うべきです。すぐに名義変更を行うべき理由は、下記の2つです。

● 罰金(過料)を支払う可能性がある
● 勝手に名義変更されかねない

実際に影響が受けやすい順番で解説します。

1-1.罰金が課される可能性がある

令和3年に民法が改正され、相続した不動産の名義変更が義務化されました。この改正により、

不動産の相続登記は相続の開始およびそれにより所有権を取得したことを知ってから、3年以内に相続登記を申請しなければならず、正当な理由なく怠ると10万円以下の罰金が課される可能性があります。

相続不動産の名義変更が義務化

「司法書士の相場は約6万円!相続手続きを安く済ませる方法を紹介」では、相続登記の義務化の開始日時やどのように適用されるかを詳しく書いておりますので、不動産の名義変更の理解が深まります。合わせてお読みください。

1-2.勝手に名義変更されかねない

遺産分割協議や遺言書の検認だけでは、不動産登記記録(不動産登記簿)上で、相続によって不動産を取得した人の権利を主張することができません。

まだ亡くなった人(被相続人)の名義のままの状態であれば、法定相続分の割合で登記する場合に限って、他の相続人が勝手に単独で申請書を作成して相続登記の申請をすることができてしまいます。

法定相続分とは、民法で定めた相続分割合のことで、この法定相続分割合の通りであれば誰かが勝手に相続登記をしたとしても他の相続人に不利益がないため、単独で相続登記申請ができるとされているのです。

たとえば、法定相続人を配偶者と子どもと仮定します。遺産分割協議のみ終わらせ、子どもが不動産をすべて相続すると決定したにもかかわらず名義変更しないままでいると、配偶者が勝手に単独で法定相続分の「配偶者2分の1、子ども2分の1」という形の名義変更をすることが可能です。

このような登記申請をしても、遺産分割協議が無効になるわけではありませんから、改めて配偶者の2分の1を子どもに移転(遺産分割を原因として)すれば問題はないのですが、仮にこの場合に配偶者が2分の1を子どもに移転せず、第3者に売却してしまった場合には、子どもはその第3者と2分の1の権利を巡るトラブルに巻き込まれることになります。

ちなみに、そのケースでの結論を少し説明しますと、遺産分割協議が終わった後に配偶者が2分の1を第3者に売却すると、子どもが遺産分割協議によって自分が不動産の権利をすべて取得したことをその第3者に主張できるかが問題になります。

この場合は、「どちらが先に登記をしているか」でその優劣が決まります。すなわち、第3者が先に配偶者から購入した2分の1を登記してしまうと、子どもはその2分の1については自分の権利を主張できなくなってしまいます。

このことからも、遺産分割協議の結果は速やかに登記申請しておくことがトラブル防止につながることがおわかりいただけるかと思います。

名義変更しないとトラブルになる

2.不動産の名義変更の流れと注意点

2-1.名義変更は自分で手続きできる

不動産の名義変更は、自分で手続きができます。相続人が1人の場合は、自分で手続きをすることも難しくありません。

ただし、相続人が多い場合や、自筆証書遺言がある場合は法的な知識が必要となるため、名義変更の専門家である司法書士に依頼したほうがスムーズに手続きが終了します。

また、市役所での書類の収集や法務局の申請する窓口は、平日しか空いていません。郵送でも手続きができますが、まとまった時間が取りにくい場合や、複雑で自分ではできない場合は、司法書士に依頼したほうがスピーディーに手続きができます。

相続人1人なら自分で手続き可能1に

2-2.不動産の名義変更をする流れ

不動産の名義変更は、遺産分割の方法によって異なります。

参照:法務局 不動産の所有者が亡くなった

手続きが少なく、分かりやすい順番で解説していきます。

2-2-1.相続人1人・法定相続分で相続する流れ
不動産の名義変更は、必要書類を集め、法務局に申請します。「司法書士の相場は約6万円!相続手続を安く済ませる方法を紹介」では、相続人が1人のときと法定相続分で相続する場合の不動産の名義変更のやり方や、注意すべきケースの理解が深まります。合わせてお読みください。

2-2-2.遺言書によって分割する流れ
遺言書で分割する場合は相続人1人で相続する場合の必要書類に追加で、遺言書が必要です。
自筆証書遺言の場合は、家庭裁判所で検認が必要となります。

検認とは、相続人に遺言の存在と内容を知らせ、加筆や訂正の状態、日付など検認の日時点の遺言書の内容を明確にし、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。

ただし、遺言の内容が法的に有効かどうか判断する手続きではありません。遺言書の効力の確認は、司法書士などの専門家に確認しましょう。

検認のときに共通して必要な書類は、以下の通りです。
● 申立書
● 遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
● 相続人全員の戸籍謄本
● 遺言者の子(またはその代襲者)で死亡している方がいる場合、その子(またはその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本

申立書は様式が決まっており、下記の裁判所のHPから確認できます。
申立書
申立書の記載例

遺言者と相続人の関係によって、別途戸籍謄本が必要となります。詳しくは下記の裁判所のHPをご覧ください。
参照:裁判所 遺言書の検認

必要書類の収集や自筆証書遺言の検認が終わり次第、法務局へ名義変更の申請をします。
申請書の様式は決まっていませんが、以下の法務局のHPで様式と記載例が確認可能です。

公正証書遺言で遺産分割する場合の様式と記載例は、以下の通りです。
公正証書遺言 様式
公正証書遺言 記載例

自筆証書遺言で遺産分割する場合の様式と記載例は、以下の通りです。
自筆証書遺言 様式
自筆証書遺言 記載例

2-2-3.遺産分割協議書によって分割する流れ
遺産分割協議書で名義変更する場合は、相続人1人で相続する場合の必要書類に追加で、遺産分割協議書に相続人全員が実印を押印し、印鑑証明書を添付します。

遺産分割協議書の様式は決まっていません。パソコンで入力したものや、自筆のものでも問題ありません。

まずは「遺産分割協議書」とタイトルを書きます。
次に被相続人の氏名、本籍地、最後の住所地、生年月日、死亡年月日を記載しましょう。

不動産を記入する場合は、建物と土地をそれぞれ分けて記入します。登記事項証明書に記載されている通りに書きましょう。共有で相続する場合は、「持分割合 3分の1」のように持分を記載する必要があります。

全ての遺産の分割方法を記入し、相続人全員が署名と押印をします。
印鑑は実印を使って押印しなければ登記申請はできません。

最後に、相続人全員が署名と押印をした日付を書いて、完成です。
必要書類の収集や遺産分割協議書の作成が終わり次第、法務局へ名義変更の申請をします。

遺産分割協議書で遺産分割する場合の様式と記載例は、以下の通りです。
遺産分割協議書 様式
遺産分割協議書 記載例

2-3.名義変更するときの注意点

名義変更するときの注意点は、2点あります。

● 不動産の名義は単独にする
● 遺産分割協議書の不動産の情報を正確に記載する

実際に起こりやすい順番で解説します。

2-3-1.不動産の名義は単独にする
不動産は単独名義にすることをオススメします。共有名義にすると、売却するときに全員の合意が必要となるためです。共有者の1人に借金があると、差し押さえになるリスクもあります。

共有名義の不動産の共有者の1人が亡くなった場合に、再度相続が発生し、不動産の権利関係が複雑になります。そうなると土地の管理や売却が難しくなり、差し押さえのリスクが高まります。

不動産の名義は単独にする

2-3-2.遺産分割協議書の不動産の情報を正確に記載する
遺産分割協議書には、不動産の情報を正確に記載しましょう。遺産分割協議書に記載する不動産の情報は、登記事項証明書(登記簿謄本)に載っている情報をそのまま記載してください。具体例は、以下の通りです。

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下記の土地は、相続人~が相続する。

所在:東京都文京区本郷~

地番:~番地

地目:宅地

地籍:〇〇〇㎡
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3.不動産の名義変更にかかる費用と期間

不動産の名義変更にかかる費用と期間は、自分で手続きする場合と司法書士に依頼する場合で異なります。自分で手続きをする場合から、ご紹介します。

3-1.自分で手続きをする場合

自分で手続きする場合は、司法書士に依頼する手数料(報酬)を支払わないため、実費のみで費用を抑えられます。
以下の条件を想定して、実費を計算します。

● 1000万円の土地
● 相続人が配偶者と子ども3人
● 必要書類を集める手段は郵送

登録免許税 40,000円
戸籍等の書類の取得費用 5,000~10,000円
郵送費 5,000~10,000円
合計 50,000~70,000円

登録免許税とは、法務局に登記を申請する際に必要となる収入印紙代です。

登録免許税は、以下の計算式を使って計算します。

申請する不動産の固定資産税評価額の合計×0.4%=登録免許税

固定資産税評価額は1,000円未満を切り捨て、登録免許税は100円未満を切り捨てて計算します。

固定資産税評価額は、固定資産税評価証明書か固定資産税納税通知書で確認することが可能です。
また、これらのどちらかのコピーを登記申請の際に法務局に提出します。

自分で行う場合は必要書類の収集に1~2ヶ月前後かかり、その後、他の相続人に遺産分割に署名捺印をしてもらったり、申請書を作成したりするのに1ヶ月前後かかることがあります。

3-2.司法書士に依頼する場合

司法書士に不動産の所有権移転登記を依頼する手数料は、全国平均で約6.6万円です。この結果は、日本司法書士連合会が、全国1000人以上の司法書士に以下の条件で調査したものになります。

● 固定資産評価額の合計が1,000万円
● 土地1筆と建物1棟の所有権移転登記手続
● 戸籍謄本など必要書類の5通の請求
● 遺産分割協議書と相続人間関係図、登記原因証明情報の作成

約6.6万円は、実費を除いた金額です。相続人の人数や不動産の数などによって、手数料は異なります。依頼する場合は、見積もりを取り、適正な手数料か確認しましょう。

参考:日本司法書士連合会 司法書士の報酬 報酬アンケート結果(2018年(平成30年)1月実施)

司法書士に依頼する場合は、1〜2ヶ月前後かかります。しかし、相続人の数や名義変更する不動産の数によって、期間は異なります。依頼する場合は、あらかじめ依頼するときにどのくらいの期間がかかるのか質問しておくことをオススメします。

4.まとめ

令和6年4月1日からの相続登記義務化により、不動産の名義変更は、怠ると罰金(過料)が課される可能性があり、勝手に名義変更されかねないため、遺産分割の割合が決まり次第すぐに行うべきです。

不動産の名義変更は、自分で手続きできます。しかし、相続人が多数いる場合や、権利関係が複雑な場合、自筆証書遺言がある場合は、専門知識が必要なため、司法書士に依頼したほうがスムーズに手続きが完了します。

名義変更するときは、将来の売却が難しくなるため、なるべく単独名義になるよう遺産分割するのが望ましいです。

​​​​​​​自分で手続きをする場合は、実費のみで5~7万円程度かかります。司法書士に依頼する手数料は、平均約6.6万円程度です。

この記事によって、相続した不動産の名義変更するやり方が分かり、相続登記がトラブルなく、スムーズに終わることを願っています。