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【売る人向け】知っておきたい!インスペクションの費用相場とメリット・デメリット

不動産売却
2022.10.01

「売却前に費用がかかりすぎるのは困るなあ...」

不動産会社と媒介契約を結んだ時に、インスペクションのあっせんを受けた。しかし、売却前に費用がかかるのは困るが、やらなくて何か問題になるのはさらに困る。

インスペクションはどのくらい費用がかかるのか、売却前に売主がすべきかどうかなどわからず、不安に感じていませんか。

インスペクションとは、住宅の状態を調査する『住宅診断』のこと。住宅インスペクション、ホームインスペクション、住宅検査などいろいろな呼び方がありますが、どれも同じ住宅に施す検査全般を意味します。

そして、宅建業法に定められた基準に基づいた検査を行うインスペクションを「建物状況調査」といい、今回の記事中の「インスペクション」とは「建物状況調査」の意味で使用しています。

ジャパンホームシールド株式会社さんが運営するHomille(ホーミル)さんのHPに大変わかりやすい図があったので引用します。

インスペクションと建物状況調査の違い

引用:Homille(ホーミル)建物状況調査とインスペクションの違い

専門家が、住宅の劣化状況や欠陥の有無など、『構造耐力上主要な部分と雨水の侵入を防止する部分』を中心に、第三者的な立場から調査をします。

具体的には、このあたりがチェックされるポイントです。

建物外部 基礎・外壁・軒・屋根
建物内部 居室等の床・壁・天井・建具・その他の設備(配管なども)

不動産会社からインスペクションについて説明を受けるタイミングは3回あります。

1)媒介契約の締結時
2)重要事項説明の実施時
3)売買契約の締結時

2018年の法改正により、不動産会社はインスペクションについて説明することが義務化されたからです。

しかし、説明・斡旋を受けたとしても、インスペクションを実施するかしないかは、売主買主ともに自由であり、個人の判断に委ねられています。

なぜなら、不動産会社の「説明」は義務化されていますが、『実施』までは義務化されていないからです。

インスペクションは、『実施した方が費用を支払うことになります。』

かかる費用は、宅地建物取引業法の規定にあるインスペクション内容の金額だとこちらです。

建物 相場
マンション 約5万円
戸建 約4.5〜6.5万円

この金額は前後しますが、その金額に見合うものなのかどうか、メリット・デメリットを含めて、自分で判断する必要があります。

本記事では、インスペクションの費用を負担するのは誰か、そしてその費用はいくらか、実施した場合のメリットデメリットを具体的に説明します。

記事を読み終えてから、売却前にインスペクションを実施するかどうかを根拠をもって判断をすることができるでしょう。


監修者情報

印南和行(宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、一級建築士、一級建築施工管理技士、不動産コンサルティング技能士試験合格)
全国不動産売却安心取引協会 理事長。住宅専門チャンネル「YouTube不動産」が「わかりやすくて参考になる」と大好評でチャンネル登録者8万人、総視聴回数2100万回を超える(2022年7月1日現在)。著書に「プロ建築士が絶対しない家の建て方」(日本実業出版社)、「プロが教える資産価値を上げる住まいのメンテナンス」(週刊住宅新聞社)がある。


目次
1.インスペクションの費用は誰が負担するべき
2.インスペクションの費用
 2-1インスペクションの費用相場
 2-2 インスペクションの費用に含まれているもの
 2-3 インスペクションの費用をゼロにする方法
3.インスペクションを実施した場合の3つのメリット
 3-1買主へのPRとなる
 3-2 瑕疵担保保険への加入が可能となる
 3-3 買主とのトラブル回避
4.インスペクションを実施した場合の2つのデメリット
 4-1売却前から費用がかさむ可能性
 4-2 売却価格の値下げ交渉が生じる可能性
5.まとめ


1 インスペクションの費用は誰が負担するべき

インスペクションは、売主・買主ともにどちらが負担をしても構いません。

売主が実施しても、買主が実施しても、両者ともに実施しなくても特に問題はありません。しかし、実施した場合は、基本的に『実施者が費用を負担する』ことになります。

なぜなら、インスペクションを実施するかしないかは売主・買主ともに自由であり、個人の判断に委ねられているからです。

2018年に宅地建物業法の改正により、不動産会社による説明が義務化されました。

それ以前は、買主側が購入前に物件の状況を確認したいという目的でインスペクションが行われることが多かったのですが、改正以降は、売主のインスペクション実施も増えてきています。

2 インスペクションの費用

インスペクションを実施した場合の費用について、費用の相場とそれに含まれているもの、さらに費用をゼロにする方法について詳しく説明します。

2-1 インスペクションの費用相場

インスペクションの調査費用の相場は5万前後です。

しかし、売却物件の種類がマンションか一戸建てかによって変わります。また、一戸建ての場合は、その広さがどのくらいかによっても金額に差が出てきます。

こちらが調査費用の目安です。

建物 相場
マンション 約5万円
戸建 約4.5〜6.5万円

たとえば、標準的な一軒家の大きさである約30坪(約100平米)の戸建でインスペクションを依頼しようとすると、インスペクション費用はおよそ4.5万円となります。

しかし、「給排水管路検査」や「床下や屋根裏への侵入調査」などをオプション追加することによって費用が変わることもあります。

オプション費用の一例です。

床下の侵入調査 約1.5~3.5万円
屋根裏の調査 約1.5~3.5万円
給排水管路検査 約5千円

詳しくは依頼する会社に確認をしましょう。

2-2インスペクションの費用に含まれているもの

インスペクションの費用は、基本料金・オプション料金・報告書作成料金の3つで構成されています。

まずは基本料金についてです。

インスペクションに含まれている調査は、国土交通省の告示の第82号で定められている既存住宅状況調査方法基準に従って行うこととされています。この基準は、既存住宅で調査すべき項目を国が一つずつ定義付けているものです。

そのため、基本料金に含まれている調査箇所は、この基準がベースになっていることがほとんどです。

たとえば具体的にはこちらです。

構造耐力上主要な部分 基礎・壁・柱・小屋組・土台・筋交いや火打ち材等の斜材・床版・屋根版・梁等の横架材で、住宅の自重や積載荷重、積雪、風圧、土圧、水圧、地震等の揺れや衝撃を支えるもの
雨水の浸入を防水する部分 屋根・外壁・これらに設ける開口部(サッシ等)、雨水を排除するための排水管(但し屋根・外壁の内部・屋内にあるもの)

項目の詳細はこちらで、説明されています。

参考:既存住宅状況調査方法基準の解説 - 国土交通省

さらに、床下や屋根裏の侵入調査、給排水管路検査などを行う場合は、追加料金がかかります。あくまでも基本料金は最低限の項目をチェックできるものと考えてください。

また、報告書の作成料金は、基本料金に含まれている場合が多いですが、別途1万円前後かかる場合もあります。

2-3 インスペクションの費用をゼロにする方法

依頼をする不動産会社によっては、『インスペクションを無料サービスしてくれる』不動産会社もあります。

なぜなら、インスペクションを行うことでよりその物件が売りやすくなり、不動産会社も媒介手数料を得やすくなるというメリットがあるからです。

もちろん、その無料サービスを受けるにはある一定の条件があることが一般的です。

たとえば、専任媒介契約、もしくは専属専任媒介契約を締結すること。

専任媒介契約・専属専任媒介契約とは、1社にしか仲介を依頼できない契約のことで、その物件の媒介をその会社が優先的にできるようになります。

他にも、物件が一定以上の販売価格であることなどが条件にあがることがあります。

不動産仲介会社がインスペクション費用を負担

3 インスペクションを実施した場合の3つのメリット

インスペクションには、3つの効果があります。

1)買主へのPRとなる
2)瑕疵担保保険への加入が可能となる
3)買主とのトラブル回避

こちらの3つはメリットが得やすい順に並んでいます。

それぞれ1つずつ解説していきます。

3-1 買主へのPRとなる

インスペクションを事前に行った状態で販売している物件の方が、実施していない物件に比べて、早く・高く売れる可能性があります。

インスペクションを事前に行うことで物件の状況を明確に伝えることができ、買主としては一定の安心感を持って購入を検討することができるからです。

インスペクションを実施していることが、他の物件との差別化ポイントになるのです。

また、プロの目を通っているというのも買主を安心させるポイントのひとつです。

3-2 瑕疵担保保険への加入が可能となる

インスペクションを行い歌詞担保保険の検査項目に合格することで、瑕疵担保保険に加入できることになります。

瑕疵担保保険とは、売却後に瑕疵(傷や欠点など)が見つかり、補修費用などが必要となった場合に保証される保険です。

その保険の対象となるのは、中古住宅の構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分(窓や屋根)などで、保険期間は1年、2年、または5年です。

保険金の支払い対象となる費用は、補修費用や調査費用、転居・仮住まい費用などで、支払限度額は200万円、500万円、または1,000万円と、加入する保険によって変わります。

参考:国土交通省HPより

瑕疵担保保険付物件として売り出すことで、買主はより安心して物件を購入することができます。

さらに、売主としても、瑕疵担保保険に入れるというのは、万が一契約不適合責任のトラブルが起きてしまった場合に備えて安心できる点でもあります。

万が一、インスペクションが瑕疵担保保険の検査項目で不合格でも必要箇所の補修などを行い、再検査で合格すれば瑕疵保険に入ることは可能です。

また、注意点があります。瑕疵保険に加入するためには、単なるインスペクションではなく、『瑕疵保険に入るための』インスペクションが必要となります。

瑕疵保険に対応している会社は限られるため、瑕疵保険への加入を見越してインスペクションを行う場合は確認をしてから依頼しましょう。

3-3 買主とのトラブル回避

事前にインスペクションを行い、プロの目を通してチェックをすることで、『引き渡し後に起こり得るトラブルを未然に防ぐことができます。』

お互いが物件の状態を把握した上で取引ができるので、購入後に住宅の瑕疵が表面化するのを避けられるからです。

たとえば、インスペクションを行わずに売却をし、売却後に雨漏りがあった場合、契約不適合責任を追求され、追完請求や、代金減額請求、損害賠償請求をされる可能性や契約の解除が求められることもあります。

インスペクションの調査により、雨漏りがあることが事前にわかっていた場合、雨漏りがある旨を契約書に明記すれば契約不適合責任の追求はされません。

買主にその点を伝えた上で、その分販売価格を調整するなどし、事前にトラブルを避けることができます。

また、事前に調査をし結果を把握しておくことで、売主の身に覚えのない修理費の請求を受けることも避けることができます。

4 インスペクションを実施した場合の2つのデメリット

インスペクションを行うことで生じる可能性のある2つのデメリットがあります。

1)売却前から費用がかさむ可能性がある点
2)売却価格の値下げ交渉が生じる可能性がある点

実際に起こり得そうな順に、それぞれ1つずつ解説していきます。

4-1 売却前から費用がかさむ可能性

インスペクションを実施するためには、まずは検査費用として約5万円程度、オプションを入れると約12万円程度の費用を想定しておく必要があります。

また、インスペクションを行うことで、大掛かりな補修箇所や問題点を発見する可能性もあります。その補修箇所を修繕するとなった場合には費用がかかります。

その費用が高額となることもあり、売却前から想定外の費用がかかってくる可能性もゼロではありません。

4-2 売却価格の値下げ交渉が生じる可能性

売主が事前にインスペクションを行わず、買主が行うインスペクションによって物件に補修箇所が見つかった場合、『値引きや補修を求められる可能性』があります。

しかし、売却後にその欠陥が見つかると将来的には大きなトラブルになる可能性もあります。

なお、インスペクションで指摘された箇所の修繕は、必須ではありません。売主と買主の話し合いしだいで、その分値下げして売買することも可能です。

5 まとめ

今回は『インスペクションの費用相場とメリット・デメリット』について解説しました。

まず、インスペクションは義務ではありません。そのため、売主が実施しても、買主が実施しても、両者ともに実施しなくても特に問題はありません。

しかし、実施した場合は、基本的に実施者が費用を負担することになります。

インスペクションの費用相場は、約5万程度です。基本的な最低限の調査費用は、戸建かマンションか、そして広さによって変わりますが、以下を参考にしてください。

建物 相場
マンション 約5万円
戸建 約4.5〜6.5万円

また、「給排水管路検査」や「床下や屋根裏への侵入調査」などをオプション追加すると費用が変わります。

オプション費用の一例はこちらです。

床下の調査 約1.5~3.5万円
屋根裏の調査 約1.5~3.5万円
給排水管路検査 約5千円

インスペクションを無料サービスしている不動産会社もあります。一定の条件はありますが、売却の前に検討してみることもおすすめします。

そして、インスペクションを実施することのメリット・デメリットはこちらです。

メリット インスペクションに加入していることで安心材料の一つとなり、早く、高く売れる可能性が高まる
瑕疵担保保険への加入条件の一つが満たされ、買主売主ともに安心感が増す
契約不適合責任など、買主とのトラブルを事前に回避することができる
デメリット 売却前から、検査費用や修繕費用など出費がかさむ
補修箇所の状況によっては、売却価格の値下げを検討する必要がある

この記事の動画解説はこちら