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シミュレーションも簡単にできる!家の解体費用の相場を徹底紹介
不動産売却
2022.08.04

シミュレーションも簡単にできる!家の解体費用の相場を徹底紹介
古くなった家の解体を進めたいけれど、家の解体に費用がどのくらいかかるのかイメージが湧かず、なんとなくそのままにしていたり、解体は難しいだろうと決めつけていませんか?

一般的に家の解体費用の相場はこちらです。

構造 坪単価 30坪の場合
木造 3〜5万円/坪 90〜150万円
鉄骨造 5〜7万円/坪 150〜210万円
RC(鉄筋コンクリート) 6〜8万円/坪 180〜240万円

しかし、解体費用の見積もりは建物の構造、周辺環境など、状況によって金額に差があります。また、作業に含まれる内容によっても前後することがあるのです。

金額に差が出る具体的な内容はこちらです。

項目 内容
建物の構造 使用されている木材の種類、広さ、フロア数(階数や地下の有無)
地域 人件費、重機使用料、作業のしやすさ
周辺環境 立地(重機の入りやすさや重機のサイズ)
物量 廃材の量
築年数 倒壊の危険性
アスベストの有無 アスベスト調査の実施、使用されている場合は撤去
付帯工事 建物以外に撤去の必要がある場合(塀や庭木、倉庫、庭石など)
埋設物の撤去 地中に埋まっているもの(過去の工事の廃棄物、ゴミ、コンクリートの塊など)

状況により変動する費用についても理解した上で、解体を実施するのか、実施する場合は解体業者選びをし、安心して損なく進めたいですよね。

この記事では、解体費用の相場について『建物の構造』『地域』『周辺環境』『物量』『築年数』の5つ軸で説明します。

また、金額がさらに上がる『アスベストの除去』や『付帯工事』、『埋設物の撤去』の3つのケースについて、さらに、費用を抑える2つのコツとして『物を減らしておくこと』『助成金・補助金』についてもご紹介します。

本記事を参考にしながら、自分の家の解体費用についても計算してみることで、家の解体への現実味は増してくるでしょう。


監修者情報

印南和行(宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、一級建築士、一級建築施工管理技士、不動産コンサルティング技能士試験合格)
全国不動産売却安心取引協会 理事長。住宅専門チャンネル「YouTube不動産」が「わかりやすくて参考になる」と大好評でチャンネル登録者8万人、総視聴回数2100万回を超える(2022年7月1日現在)。著書に「プロ建築士が絶対しない家の建て方」(日本実業出版社)、「プロが教える資産価値を上げる住まいのメンテナンス」(週刊住宅新聞社)がある。


目次

1. 解体費用を決める5つの軸
 1-1 建物の構造
 1-2 地域
 1-3 周辺環境
 1-4 物量
 1-5 築年数
2. 解体費用が高くなる3つのケース
 2-1 アスベスト除去に関する費用
 2-2 付帯工事に関する費用
 2-3 埋設物の撤去に関する費用
3. 解体費用を安く抑える2つのコツ
 3-1 助成金や補助金を利用する
 3-2 事前に物を減らしておく
4. まとめ


1. 解体費用を決める5つの軸

家の解体費用は、建物の構造、家のある地域、周辺環境、物量、築年数の5つの軸によって変わります。それぞれがどんな点で費用に影響しているのか、具体的に説明します。

1-1)建物の構造(素材)

建物の構造とは、家が『どんな素材』で『どう組み立てられているか』ということです。

まず、家の構造体の素材についてです。

一般的な相場はこちらです。

構造 坪単価 30坪の場合 50坪の場合 100坪の場合
木造 3〜5万円/坪 90〜150万円 150〜250万円 300〜500万円
鉄骨造 5〜7万円/坪 150〜210万円 250〜350万円 500〜700万円
RC(鉄筋コンクリート) 6〜8万円/坪 180〜240万円 300〜400万円 600〜800万円

※1坪は約3.3平米

一般的な、解体費用の傾向はこちらです。

【安い】  木造 < 鉄骨造 < RC造(鉄筋コンクリート造) 【高い】

素材によって、解体にかかる手間、時間、重さ、廃棄方法が変わります。

そのため、『木造』『鉄骨造』『RC造(鉄筋コンクリート造)』の3パターンで解体費用に差が出るのです。

それぞれの素材の解説と価格の傾向を説明します。

構造   坪単価
木造 住宅の主要な柱に木材を用いる。

他の素材を使った住宅に比べると解体コストは比較的安い傾向。

3〜5万円/坪
鉄骨造 梁や柱などの骨組みに鉄骨を用いる。

『RC造(鉄筋コンクリート造)』に比べると重量が軽く、高層マンションなどで使われることが多い。解体コストは、『木造』と『RC(鉄筋コンクリート)』の中間。

5〜7万円/坪
RC(鉄筋コンクリート) コンクリートに太さ1センチメートル以上の鉄筋を埋め込んだものを用いる。
コンクリートと鉄骨の解体、廃棄などにコストがかかるため、解体コストは他の素材を使ったものに比べると高い。
6〜8万円/坪

例えば、木を使った家よりも、鉄骨など固い素材でできているものの方が時間も手間もかかるため費用が高くなります。

1-2)建物の構造(広さと階数)

素材だけではなく、建物の広さや階数でも費用に差がでます。

広ければ広いほど使っている素材の量が増えるため、費用は上がっていきます。

複数階の場合は延べ床面積で計算。基本的な解体費用の計算式はこちらです。

解体費用 = 坪単価 × 延べ床面積

例えば、木造2階建てで各フロアの床面積が20坪の場合、

坪単価3万円 × 延べ床面積40坪(20坪 × 2フロア)=解体費用 120万

という計算となります。

さらに2階以上の建物の場合には、安全に解体するために足場を組む必要があり、その分の費用が追加されます。

足場の単価は、1平米あたり800円前後。養生シートの単価は200円前後が費用とされています。

しかし1階建てだから安いかというと、一概にそうとは言い切れません。

平屋でも、延べ床面積が2階建てと同じ場合、その分の基礎や屋根が多くなります。その場合、解体に時間がかかり、廃棄物量も増えるため、費用が高くなるのです。

例えば、延べ床面積はどちらも60坪の『2階建て』と『平屋』を比較すると、基礎や屋根が多くなる平屋の方が解体費用が高くなります。

2)地域

地域別にみた木造の場合の相場目安です。

北海道、秋田県、福井県、愛知県、和歌山県、鹿児島県、沖縄県 など 坪単価 2〜3万
宮城県、栃木県、埼玉県、東京都、神奈川県、長野県、大阪府、岡山県、徳島県、長崎県 など 坪単価 3〜4万

地域ごとに解体費用が差がある理由は、人件費や重機使用料、作業のしやすさが影響するからです。都市部の方が各項目で費用が上がるため、相場が高い傾向にあります。

それぞれを詳しく説明します。

人件費 都市と地方で比べると都市部の方が人件費が高い。作業にあたる人たちの人件費が上がるため、解体費用に影響する。
重機使用料 重機置き場の家賃も都市部の方が高い。同じ重機を使用する場合でも使用料やレンタル料の相場が高くなる。
作業のしやすさ 地方は隣家との間や道にゆとりがある場合が多く、養生や廃材の運搬など作業がしやすい。しかし、都市部は隣家との距離感や道幅の規定など制限が多く、作業効率に影響があり、作業日数が増える。

3)周辺環境

解体する家がどのような立地にあるのかによって解体費用は変動します。

以下のような条件の立地に当てはまる場合、費用が追加されると思っておきましょう。

・住宅密集地

・隣接する道路が狭い

・重機が入れないほどの狭い土地

・電線が敷地上にあり、重機のアームがぶつかる

解体に使用する重機が入れなかったり、制限される場合は、人力で対応する部分が増え、時間と労力が余計にかかってしまうため、主に人件費が追加され、費用が上乗せとなるのです。

特殊な立地環境の場合はしっかりと見積もりを取ってから依頼をするようにしましょう。

4)物量

廃材の物量によっても費用が変わります。

家の中に家具が残されていたり、物置の中に荷物が入ったままの状態の場合、庭に塀やカーポート、庭木などがある場合、建物の解体費用の他にも追加の費用が発生します。

廃材運搬の費用の相場は、2トントラックで約13,000〜15,000円。種類別に処分することが決められているため、廃材の種類によっては何度も運搬の必要が出てきます。その場合は追加料金となります。

なぜなら、廃材の運び出しや処理にも費用がかかっているからです。また、廃材はリサイクル法に基づき、分別の必要があります。この分別は人力のことが多く、この点でも人件費がかさみ、費用の追加となるのです。

家の中に残されているものも一緒に廃棄する場合にはその分は追加料金になると思っておきましょう。

5)築年数

築年数が経った建物ほど、解体費用は上がります。

なぜなら、古い建物には、アスベスト(石綿)を使っている可能性があり、その場合には、法律に基づき、事前調査や届出などを行う必要があり、追加費用がかかるからです。

また、古い建物は解体作業の際に倒壊の可能性があり、工期が長くなる傾向があります。そのため費用も上がる可能性があるのです。

2. 解体費用が高くなる3つのケース

解体費用が高くなるケースは、アスベスト除去、付帯工事、埋設物の撤去の3つのケースがあります。具体的に説明します。

1)アスベスト除去に関する費用

アスベスト調査は、解体工事を行う前に実施するよう法律により義務付けられており、調査してアスベストが使用されている場合は除去費用がかかります。

その費用は、使用箇所や量によってさまざまです。

特に、『1975年以前に建築された建物』を解体する場合には、アスベスト(石綿)が使われている可能性があります。

以前は、保温断熱の目的で石綿を吹き付ける作業が行われていましたが、ガン性などの有害性が認められたため、1975年以降は原則使用は禁止となっています。

アスベスト参考:厚生労働省

2)付帯工事に関する費用

塀や庭木などは建物の解体費用とは別に、撤去する工事費用がかかります。

付帯物になるのはこのあたりのものです。

庭木・庭石・ブロック塀・カーポート・フェンス・物置など

建物以外のものがどのくらいあるかどうかは家によってそれぞれなので、付帯工事が総額いくらになるかどうかは、事前の情報内に記載されていないことがほとんど。

対象となるものの撤去も解体に含む場合は別途費用が発生すると考えておきましょう。

3)埋設物の撤去に関する費用

埋設物がある場合は費用が追加でかかります。

土の中から見つかった過去の工事の廃棄物やゴミ、コンクリートの塊などです。

土の中の作業のため、解体作業が始まってから気がつく場合が多く、後から高額な処理請求に驚くことがあります。

解体作業中に埋設物を見つけた場合は、その時点で報告をもらうように、事前にすり合わせておきましょう。

3. 解体費用を安く抑える2つのコツ

解体費用を安く抑えるための秘訣が2つあります。1つは、解体工事には助成金や補助金をもらうこと、2つめは、事前にできるかぎり荷物を減らしておくことです。

詳しく説明します。

1)助成金や補助金を利用する

解体工事には助成金や補助金が存在します。

空き家が増えると景観が損なわれるだけでなく、不法投棄や害虫の発生、放火や犯罪が起こる可能性が高くなります。そのため、空き家が増えていることを国や自治体も問題視しているのです。

国は、2015年には適切な管理がされていない空き家が及ぼす地域への影響を改善するために「空き家対策特別措置法」を定めました。

空き家の理由の一つは、解体工事に費用がかかるため、持ち主がそのままにしてしまうこと。

そのため、補助金を出し、空き家がもたらす悪影響を少しでも減らそうとしています。

代表的な補助金を3つ紹介します。

名称 内容 支給額
老朽危険家屋解体撤去補助金 老朽化等で倒壊の危険のある家屋の除却を促進する制度。
自治体の認定や耐震診断を受ける必要がある。
解体費用の1/5から1/2程度
都市景観形成地域老朽空き家解体事業補助金 都市の景観を守るために、長期間放置された家屋の解体費用を補助する制度。
空き家の所有者や相続関係者に、解体工事後に景観形成基準を満たす土地の利用方法が求められる。
解体費用の1/5から1/2程度
建て替え建設費補助金 老朽化した家屋を除却し、一定の基準を満たす住宅を建築する施主に解体費用をはじめ、建築費用の一部が補助される制度。

良質な住宅として、賃貸部分を含むこと等、個別の条件が求められる。
自治体によってさまざま。

例)

太陽光発電を導入すると受けられる補助金:

1kWhあたり12,500円、上限は50,000円

など

空き家対策の補助金・助成金は自治体ごとに設定されています。自治体によって呼び名なども異なるので、建物のある自治体のホームページを確認しましょう。

2)事前に物を減らしておく

家の中の家具や電化製品など、不用品は事前に自分で処分しておきましょう。

解体業者に処分を頼むこともできますが、その分の運搬費や廃棄物の処理代が解体費用にプラスされます。

また、敷地内の小さな庭木や自分で撤去が可能なものは、事前に処分すると費用を抑えることができます。

4. まとめ

今回は『解体費用の相場やその解体費用を決める軸、高くなるケースと安く抑える方法について』について解説しました。

家の解体を進めたいが解体費用の相場がわからない。そんな時は解体する物件の広さと建物の構造を調べ、相場を調べてみましょう。

構造 坪単価 30坪の場合
木造 3〜5万円/坪 90〜150万円
鉄骨造 5〜7万円/坪 150〜210万円
RC(鉄筋コンクリート) 6〜8万円/坪 180〜240万円

しかし、建物の構造だけに限らず、建物の階数や広さ、地域、周辺環境や建物の内外にある不要物の物量、築年数によって費用は決まっていきます。

解体しやすい環境であれば費用は抑えられますが、逆に解体しにくい状況の場合は相場より費用が上がります。

また、解体費用が高くなるケースもあります。1975年以前に建てられた物件の場合アスベストを使用している可能性があり、その調査費用、撤去対策費用が追加となります。

付帯工事として庭木・庭石・ブロック塀・カーポート・フェンス・物置なども、解体業者に撤去を頼む場合はその金額も追加です。事前に減らせるものは減らしておくことで費用を抑えることができます。

解体を進めていくと、埋没物として過去の工事の廃棄物やゴミなどが見つかることがあります。工事の終了後に、上乗せとなった金額を知り、驚かずに済むよう、埋没物が見つかった時に連絡をもらう約束を事前にしておきましょう。

また、解体費用を安く抑えるために、自治体が準備している助成金や補助金の利用も積極的に検討することをおすすめします。

解体費用の相場を自分でもきちんと理解した上で、いくつかの解体業者から見積もりを取り、比較検討をし、損のないよう、安心して解体の計画を進めていきましょう。

この記事の動画解説はこちら