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古家付きの土地を売却する賢い方法

不動産売却
2023.01.10

「こんなボロボロの家、売れますか?」

築年数が長く、人が住むのが難しい古家(ふるや)の処分をどうするか、判断に困っている人もいるでしょう。

売り出す方法は二つ。『古家付き土地』として売り出すか、『更地』にして売り出すかです。

どちらの方法が良いかは状況によって異なります。本記事では、それぞれのメリット、デメリットを分かりやすく解説します。ご自身の状況に見合った最適な方法を見つけてください。

親から相続した実家の処分をどうするか?家の築年数は長く、傷みもひどい、古すぎて売れるのかと心配な方もいらっしゃるでしょう。

このような不動産は『古家付き土地』と呼ばれます。

『中古住宅』と『古家』の違いは、「住む価値があるか、ないか」の違いです

そのため古家付き土地は、土地の評価分だけを販売価格とする場合が多いです。

さらに古家付き土地は、中古住宅として売り出す場合より、値引きの対象となりやすいです。土地のみの評価額から、古家の解体費用を差し引いた金額を求められるからです。

しかし不動産の評価については買い手の価値観によって変わります。たとえば見た目はボロボロでも広い家屋に魅力を感じる方もいるでしょう。築20年超を『古家』とする不動産会社もありますが、物件の状態によっては『中古物件』で取引されているものもあります。

あるいは古家があろうがなかろうが、その土地を強烈に欲しがる人がいるかもしれません。ということで、まずは土地と建物の査定をしっかりするべきです。

本記事では、建物の価値はほぼないというケースを想定し、「古家付き土地」として売り出したほうが良いのか、更地にして売り出したほうが良いのか、それぞれのメリット・デメリットについて分かりやすく解説していきます。


監修者情報

印南和行(宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、一級建築士、一級建築施工管理技士、不動産コンサルティング技能士試験合格)
全国不動産売却安心取引協会 理事長。住宅専門チャンネル「YouTube不動産」が「わかりやすくて参考になる」と大好評でチャンネル登録者8万人、総視聴回数2100万回を超える(2022年7月1日現在)。著書に「プロ建築士が絶対しない家の建て方」(日本実業出版社)、「プロが教える資産価値を上げる住まいのメンテナンス」(週刊住宅新聞社)がある。


目次
1.古家付きで売り出すメリット
 1-1 費用をかけず今すぐ売りに出せる
 1-2 固定資産税が軽減される
 1-3 買主へのアピール
2.古家付きで売り出すデメリット
 2-1 相場より安くなる
 2-2 値引きを求められやすい
 2-3 契約不適合責任が生じやすい
3.更地で売り出すメリット
 3-1 早く、高く売れる
 3-2 契約不適合責任の回避
 3-3 経費計上のメリット
4.更地で売り出すデメリット
 4-1 費用がかかる
 4-2 時間もかかる
5.まとめ


1.古家付きで売り出すメリット

1-1 費用をかけず今すぐ売りに出せる

古家付き土地として売却する場合、建物をリフォームしたり、解体したりする必要がないため、費用をかけずに今すぐに売り出せることが魅力的です。たとえボロボロで人が住むのが難しい古家だったとしても、立地条件に納得する買主が現れれば、スピーディーに売却できるケースも少なくありません。

解体して更地にするとなると、業者選びから見積もりを取り、解体工事開始〜完了と、かなりの日数がかかります。すぐ売り出したい方にとっては得策ではありません。

気を付けるべき点は、すぐに売り出すことと、早く売れることは、別問題ということです。

「古家付き土地」の購入希望者の多くは、土地を購入したい人です。いまある建物を取り壊して、新しい家を建てたり、駐車場にすることが目的となります。そのような人は絞られるため、買主が見つかりにくい傾向にあることも理解しましょう。

1-2 固定資産税が軽減される

たとえ古家だろうが空き家だろうが、家が建っている土地は『固定資産税が減額』されます。住宅用地の軽減措置特例が適用となり、敷地面積の200㎡までは6分の1、200㎡を超える部分についても3分の1に減額されます。

買い手をじっくり見つけたい方や、買い手がなかなか見つからず売却活動が長引いた場合に、固定資産税の軽減は大きなメリットとなります。売却前に建物を解体してしまうと、その特例が受けられなくなるので注意が必要です。

1-3 買主へのアピール 

買主へのアピールポイントは、さまざまな選択肢が広がることです。その一つに『住宅ローンが利用しやすい』ということが挙げられます。土地のみの購入だと融資の制限が厳しくなる傾向がありますが、家付きの土地だと金利が安い住宅ローンの審査が通りやすい傾向にあります。

もう一つは『土地を買いたい人にも家を買いたい人にもアピールできることで、買主となる対象者が多くなる』ことです。たとえば買主が古家に実際に住んでみて、住み心地が良ければそのままで良いですし、悪ければ建物を解体して新築に建て替えることができます。リフォームやリノベーションなどの選択肢もあります。

2.古家付きで売り出すデメリット

2-1 相場より安くなる

古家付き土地として売却すると、解体の費用や手間を見込んだ価格設定となる傾向が強くなります。建物が古すぎて印象が悪いと、相場価格よりかなり安くなる場合もあります。古家の状態をよく見極めて、解体費用がどのくらい必要になるかについても把握しておきましょう。

逆に古家であっても状態がよければ、法定耐用年数が過ぎていても価格を付けられる可能性があります。

2-2 値引きを求められやすい

買主にとってみれば古家付き土地は値引きを求めやすい物件と言えます。たとえば、そのまま住むという場合は「家が古いので値引きしてほしい」、住まないという場合は「解体費用がかかる」といった具合です。不動産会社に仲介してもらう場合は、値引き交渉への対策を事前にしっかり打ち合わせすることが大切です。

木造の建物の評価は築20年を超えると、ほとんどの物件で「価値なし」となります。ただし修繕や改築をしており、丁寧に使われてきた家であれば、耐用年数を過ぎていても居住には問題ないケースもあります。値引き交渉の対策は綿密に準備しましょう。

2-3 契約不適合責任が生じやすい

契約不適合責任とは、2020年の法改正以前は瑕疵担保責任と呼ばれていたものです。簡単に言うと、建物に何らかの欠陥があった場合に、売却後も買主に対して負わなければならない責任のことです。たとえばシロアリ被害や地中埋没物などが発見されたとき、補修費用を求められたり、場合によっては解約や損害賠償請求をされたりします。

建物が古ければ欠陥がある可能性が高いため、売却後も不安が残りやすいといえます。経年劣化の激しい古家の場合は、多くの欠陥が潜んでいることも考えられます。したがって、そのまま売却してしまうと、売主が責任を追及される可能性も高くなります。欠陥については事前に良く調べ、契約書に記載しておく必要があります。

ただし、古家については契約不適合責任が免除されるケースが多いですもあります。「建物について一切の責任を負わない」と免責の条文を明記することも検討しましょう。

3. 更地で売り出すメリット

3-1 早く、高く売れる

新築住宅を建てたい、駐車場のスペースが欲しいなど、土地活用の明確な目的がある人にとっては、更地のほうが購入を検討しやすいことは明らかです。買主側にとってみれば、建物の解体にかかる期間や費用を気にする必要がなく、手間も省けます。早く売りたいのであれば、早く土地が欲しい方のニーズを満たす必要があります。

古家に価値を見出す買主はほぼいないと判断し、売却までの時間を短くしたい場合には、古家を取り壊した更地にして売り出したほうがよいということになります。古家が残っている場合によくある値引き交渉の心配もなく、売却価格が高くなる点もメリットです。

3-2 契約不適合責任の回避

2-2で書いたとおり、古家がある場合は売却後も契約不適合責任の問題が起こりやすいといえますが、建物を解体しておけばその心配がありません。更地にすることで、地中埋設物の確認もできます。売却後のトラブルを回避したいのであれば、更地にしておくほうが良いといえます。

3-3 経費計上のメリット

不動産を売却すると譲渡所得として所得税や住民税が発生します。このとき解体費用と建物の取得費(もともと建っていた物件の購入費用)を経費として計上することができます。

課税対象となる譲渡所得額は以下のように求めます。

課税譲渡所得額=売却金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額

ただし、国税庁が定める『3000万円の特別控除額制度』を受けた場合、売却する土地の価格が3,000万円を下回るならば、解体費用分を経費申告する意味はありません。

3000万円の特別控除額制度とは、国税庁が定めるマイホームを売却するときの税金の軽減措置です。ただし、以前マイホームだったが現在住んでいない家であれば、住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに売却することが条件です。2020年のいずれかの月から住まなくなったとすると、2023年の12月31日までに売却することが特別控除を受ける条件ということになります。 

4. 更地で売り出すデメリット

4-1 費用がかかる

古家を解体するには費用がかかります。一般的な解体費用は木造建築の場合で坪単価3万円~5万円。鉄筋コンクリート造の場合は、坪単価5万円以上となることが多いです。

古家を解体して更地にする場合、取り壊し費用だけでなく整地費用もかかります。地盤に何か問題があった場合は、埋設物の除去や地盤の改良費が必要になることもあります。建物内に家財や設備を残した場合はその処分費用、草木が残っている場合は伐採費用がかかることもあります。

また建物を解体して更地にすると1-2で書いた固定資産税の軽減を受けることができなくなります。古家が建っている場合と比べ、固定資産税は敷地面積の200㎡までの部分が6倍となり、200㎡を超える部分についても3倍となります。

これらの費用を見積もったうえで、古家付きで売り出す価格と更地で売り出す価格、売れる確率、売れるまでの時間を比較して検討する必要があります。

4-2 時間もかかる

解体するには工事業者の選定から契約、そして実際の作業が始まってから完了まで時間がかかります。このため今すぐ売りたい方にとっては得策ではありません。ただし、古家付き土地だと買い手がつきにくく、売れるまでの時間が長くなる傾向があるので、どちらを選択するか判断が必要になります。

まとめ

古家付き土地で売り出すほうが良いのか、更地にしたほうがよいのか、メリット・デメリットについて説明してきました。

古家付きで売り出すと、解体費用がかからず、すぐに売り出せることが魅力的です。一方、買い手がなかなか見つからず売却までに時間がtかかり、売却価格が相場より安くなりやすいというデメリットがあります。

大事なことは古家の状態です。価値があるのか、ないのか、査定結果は不動産会社によっても異なります。複数の不動産会社へ査定依頼してみましょう。

古家を解体するかどうかの判断基準は、「買主にとって古家が残っているほうが魅力的であるか」と「建物解体の費用と売却価格のバランス」となります。売却時の値引き交渉、解体費用、固定資産税など総合的に考え、もっともよい方法を選びましょう。