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売れない土地でも物納できる?相続税の物納についてと土地を手放す方法4選

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2023.12.26

「売れない土地を相続することになったけど、いらないから物納して手放したい」

相続財産と一言にいっても、そのすべてに価値があるとは限りません。
現金などのわかりやすいプラスの財産だけでなく、借金やローンなどのマイナスの財産も相続する必要がありますよね。

その中でも、扱いに困るのが売れない土地の相続。

田舎で交通の便が悪い等の理由で、需要がない宅地だけでなく、農地転用ができない農用地区内農地や、再建築不可となっている土地など、売れない理由は様々です。
中には、不動産会社に仲介を断られてしまうような土地もあります。

売れないけれどどうしても手放したい、となると頭をよぎるのが物納という手段。

現金の代わりに不動産で税金を納める制度、となんとなく理解している方は多いと思いますが、その具体的な内容についてまでは、知らない方が多いのではないでしょうか。

いらない土地を手放せる上に、税金を現金で払わなくていいなんて、きっとたくさんの人が物納を利用しているのだろうなと思いますよね。

しかし、実際に不動産の物納をしているという方は、非常に少ないのが現実です。

本記事では、不動産の物納についてと利用者が少ない理由、そして物納以外で売れない土地を手放す方法について解説しています。

売れない土地を相続したけれども、使わない土地に固定資産税を支払いたくはないという方は、ぜひこの記事を最後まで読んで、その土地の条件にあった処分方法を見つけましょう。


監修者情報 西風恒一
(司法書士) 1972年兵庫県生まれ。 大学卒業後は教育業界で講師職・管理職を10年間経験し、平成16年から司法書士業界に入る。平成19年に司法書士資格を取得し、すべての分野の実務を経験する。 現役司法書士として実務を行いながら、法律記事のライターとしても多数の記事を執筆・監修している。


1 物納は難しい

結論から言うと、不動産の物納は一般的にはできないと思った方が良いです。

国税庁が2022年12月に発表した「令和3年分 相続税の申告実績の概要」を見ると、相続時に相続税の納税が必要な人は、相続人全体の20.4%にあたる、294,058人です。

しかし同じく令和3年の物納件数はというと、63件の申請のうち、許可が下りたのは39件でした。全体の割合で言うと、相続税の物納率はわずか0.013%です。

なぜこんなにも物納が難しいのかというと、主な要因は2つあります。

1-1 物納は相続税のみに認められている制度

まず前提として、物納は相続税にのみ例外として認められている制度であり、固定資産税等の納付には使えません。

さらに、相続税の物納は、金銭での支払いが不可能な場合に限って申請が可能となります。相続する金銭や、現金化のできる財産が相続税よりも多いとなると、まず物納はできないと考えてください。

また、たとえ相続時には支払いが困難であっても、納税義務者に分割支払いの資力があると判断されれば、延納制度を利用して金銭で復数年にわたり分割して支払う必要があります。つまり、物納よりも延納が優先されるわけです。

1-2 物納適格財産でなければいけない

・相続財産のほとんどが不動産で現金化が難しい
・相続税の支払いに充てられる資産がない
・今後、金銭での支払いができる見込みがない

これらの条件をクリアしたとしても、物納にはさらにもう一つ、高いハードルがあります。
それは、物納を希望している土地が、物納適格財産でなければならないという点です。

以前はその基準が曖昧だったため、物納の件数も年間2,000件を超えていました。しかし、平成18年4月以降、物納適格財産とみなされない『管理処分不的確財産』『物納劣後財産』の基準が明確化されたことで、物納件数は一気に半分以下に減少しました。

具体的に管理処分不適格財産と、物納劣後財産がどのようなものか、一部抜粋した表が下記です。

参考:国税庁「相続税の物納

つまり、基本的に売れない土地は、物納適格財産とはみなされないため、物納に使うこともできません。

以上の理由から、相続税の物納は現実的な手段ではないといえます。

2 物納以外で売れない土地を手放す方法


先ほど、相続した売れない土地を物納で処分することは、ほとんど不可能ということを解説いたしました。
つまり、売れない土地を手放したい場合は、物納以外の方法をとる必要があります。

では、具体的にどのようにすれば良いのかというと、主に下記の4つの方法があります。

・相続放棄をする
・隣接する土地の持ち主に売却、もしくは譲渡する
・自治体に寄附する
・相続土地国庫帰属制度を利用する

売れない土地以外の相続財産の有無や、立地によって最適な方法は異なります。
まずはそれぞれの方法の特徴を把握しましょう。

2-1 相続放棄をする

相続があったことを知った日から3ヶ月の間を熟慮期間と言い、その間に売れない土地を含めた全ての相続財産を受け取るか、家庭裁判所に相続放棄の申し立て(相続人の地位から一切離脱すること)をするかを選択しなければなりません。

相続放棄をすると、売れない土地以外の、プラスの財産も受け取ることができないため、検討するための猶予期間が設けられているのです。

この熟慮期間の間に相続放棄をすることで、売れない土地をそもそも相続しない、という選択をすることができます。相続放棄をするには、亡くなった方(被相続人)の最後の居住地を管轄する家庭裁判所に申し立てを行う必要があります。
3ヶ月の熟慮期間が過ぎてしまうと、相続放棄はできなくなるため、注意が必要です。つまり、熟慮期間内に何もしなかった場合には、特別の意思表示をしなくとも全てを相続することになります。
(家庭裁判所の管轄 https://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/kankatu/index.html

また、相続財産の一部でも処分してしまった場合も、相続放棄ができなくなります。

この処分というのは、例えば、相続財産である実家の取り壊しを行ったり、土地の一部を売却する行為などがそれにあたります。

つまり、
いったん全ての土地を売りに出し、一部の売却には成功したけれど、ほとんどが売れなかったのでやっぱり相続放棄をする
ということはできません。

2-2 隣接する土地の持ち主に売却、もしくは譲渡する

一般的には需要のない土地であっても、隣接する土地の持ち主には所有するメリットがある場合もあります。

具体的には、
いびつな形であったり、狭いというデメリットのある土地が、隣の土地を手に入れることでそのデメリットを解消できる
というメリットです。

特に、旗竿地に居住している隣人が、土地を購入することで旗竿地ではなくなるという場合は、喜んで購入してもらえる可能性があります。

隣人に売却するとなった場合でも、値段交渉や、さまざまな手続きを代行してもらうために、不動産会社に仲介に入ってもらった方が安心です。

また、売却ではなく譲渡の場合は、譲渡される側に贈与税の支払い義務が生じるため、トラブルを防ぐためにも事前に伝えておきましょう。

2-3 自治体に寄附する

自治体に寄附採納の申し込みをし、受理されれば土地の譲渡が可能です。

寄附採納の流れは自治体によって異なりますが、一般的な流れは下記です。

1.事前相談をする
2.寄附申込書の提出
3.現地調査
4.所有権移転手続き

ただし、ほとんどの自治体で寄附が可能な土地の要件が定められており、公共性のない土地=使い道のない土地は、受け付けてもらえないことが多いです。

自治体から断られてしまった場合でも、自治会や町内会などで活用できる土地であれば、そちらに寄附をすることも可能です。

その際は、寄附をする自治会、または町内会が認可地縁団体であるかどうかの確認をしましょう。もし認可地縁団体であれば、「公益法人等に財産を寄付した場合の譲渡所得等の非課税の特例」が使えるため、土地の所有権移転の際にかかる譲渡所得税が非課税になります。

2-4 相続土地国庫帰属制度を利用する

昨今の、不本意ながらも相続した売れない土地を手放したい、というニーズの高まりを受け、一定の要件を満たせば、土地を手放して国庫に帰属させることができるという『相続土地国庫帰属制度』が始まります。

スタートは令和5年4月27日からで、現在制度開始に向けた準備が進められています。
この制度の主なポイントは下記の3つです。

1.相続、または遺贈によって取得した土地のみが対象となるため、自ら購入して所有した土地は制度対象外。
2.国庫に帰属させる際は、10年分の土地管理費相当額の負担金を納付する必要がある。
3.引き取ることができない土地がある。

3つ目の、引き取ることができない土地の要件の概要は下記です。

制度の開始は2023年4月27日ですが、すでに全国の法務局・地方法務局での相談は受け付けています。少しでも気になった方は、まずはお近くの法務局に相談に行ってみてください。

3 まとめ

売れない土地を相続後そのまま放置してしまうと、毎年の固定資産税を支払い続けることになるだけでなく、将来自分の子どもに負の遺産を残してしまうことにもなります。

また、土地に利用価値がなくても管理をしないと、害虫が発生したり、粗大ゴミなどを不法投棄されるケースがあるため、定期的に除草などの作業が必要です。

さらに、建物がある場合は、老朽化が原因で倒壊した際に近隣住民が怪我をしたり、車などを傷つけてしまうと損害賠償請求されることもあります。
売れないからといって、土地を放置するのは非常にリスクが高い行為であるといえます。

境界が曖昧で売れないという場合は測量を行うなど、その土地のデメリットをなくしてから売りに出すことで、スムーズな売却が可能になるケースもあります。

まずはなぜその土地が売れないのか、原因をしっかりと把握してから、その土地に合った方法で売れない土地を手放しましょう。


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