【ブログ】不動産会社は理解している?売り主が知っている売却物件のアピールポイントが大切な4つの理由
「媒介契約が終われば、あとは不動産会社が売却してくれる」
不動産会社の販促活動が始まれば、少しは安心ですよね。
しかし、早く高く売却するためには、不動産会社に任せっきりではなく、売り主も協力して物件のアピールポイントを共有することが大切です。
そこで、この記事では売り主が知っているアピールポイントの重要性について解説します。
この記事を読むと、アピールポイントの大切さが理解できて、スムーズに物件を売却する上でのヒントが得られるでしょう。
監修者情報 印南和行
(宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、一級建築士、一級建築施工管理技士、不動産コンサルティング技能士試験合格) 全国不動産売却安心取引協会 理事長。住宅専門チャンネル「YouTube不動産」が「わかりやすくて参考になる」と大好評でチャンネル登録者9万人、総視聴回数2100万回を超える(2023年5月1日現在)。著書に「プロ建築士が絶対しない家の建て方」(日本実業出版社)、「プロが教える資産価値を上げる住まいのメンテナンス」(週刊住宅新聞社)がある。
1.売り主が感じている物件のアピールポイントが大切な理由
売り主が長く住んで感じていた物件のアピールポイントは、売り主にしかわからないものかもしれないため、不動産会社の担当者と十分に共有しておく必要があります。
ここでは、なぜ売り主が感じているアピールポイントを共有することが大切なのか解説します。
1-1.物件の「長所・短所」が一番わかっているのは長く住んでいる売り主
よく「不動産は世の中に1つとして同じものがない」と言われます。
それは、不動産が単純に土地と建物だけではなく、不動産のある地域や場所、隣接する不動産の状況などによって、同じものは1つとして存在せず、様々な要素で価値が変わるからです。
つまり、その1つしかない物件に住んでいたのは売り主だけであり、売り主の情報はその物件に関する貴重な「一次情報」となります。
「不動産会社の担当者は専門家なので、自分なんかより物件の長所・短所はよくわかるのではないか」と思うかもしれません。
しかし、担当者がいくら多くの物件の販売を経験していたとしても、この物件を販売するのは初めてで、売り主ほど物件を熟知しているわけではありません。
1-2.不動産会社の担当者は気づいていないかもしれない
アピールポイントになるかもしれないことに担当者が気づいていないこともあります。
確かに不動産会社の担当者が専門的な知識を兼ね備えていれば、一般的な物件の価値や適正な販売価格を導き出すことは可能です。
しかし、住んでもいない物件について、魅力や便利さをリアルに話すことはできません。
例えば「春は通りの桜並木がきれい」「夏は2階から花火が見える」といった季節による変化や、「近所に親切な人が多くて、近所付き合いがとても楽しい」といった情報は、直接聞かない限りわからないものです。
1-3.購入希望者に説明するのは不動産会社の担当者
不動産の販売過程で、購入を検討している人に物件の状況を説明するのは不動産会社の担当者です。
売り主は買い主の候補となる人が現れたとしても、基本的には直接説明することはありません。
そのため、売り主が感じている物件のアピールポイントは、不動産会社の担当者としっかり共有し、購入希望者に伝えてもらいましょう。
不動産会社の担当者は、物件の問い合わせ時や内覧時に、購入希望者に対して物件の詳細を説明しますが、その際にアピールポイントを直接伝えることが可能となります。
経験豊富な担当者であれば、購入希望者の雰囲気を見ながら、効果的にアピールしてくれるはずです。
1-4.購入希望者が欲しいのは売り主からのリアルな情報
物件の広告などに書いてあるのは、価格に加え、「間取り」「方位」「面積」「築年数」「駅からの距離」「駐車場」「商業施設への距離」など、どうしても「物件の概要」になりがちです。
物件を知ってもらうにはどれも欠かせない大切な情報ですが、逆に言えば誰から見ても同じ客観的な情報になってしまいます。
しかし、唯一の「居住体験者」である売り主が感じているアピールポイントは、実体験を伴ったリアルな「体験談」です。
そのため、購入希望者への説得力にも違いがあります。
売り主の感じているメリットは、他の情報とは質の異なるものであることを十分理解しておきましょう。
2.売却物件のアピールポイントを考える
販売活動が始まる前に、売り主が考える物件のアピールポイントをまとめて、不動産会社の担当者と共有しておきましょう。
2-1.買い主の立場になって考えてみる
今回は売り主になる人も、以前この家を新築したり、購入したりしたときは買い主であり、この物件に魅力を感じていたはずです。
買い主を想定して販売戦略を立てるのは、不動産会社の役目ではありますが、売り主も物件を購入したときを思い出しながら、買い主となる人を想像してアピールポイントを改めて探してみましょう。
2-2.アピールポイントの実例
「居住体験者」の売り主であっても、長く住んでいると当たり前になってしまい、売却に向けたアピールポイントを見逃してしまうかもしれません。
ここで売り主にしかわからないアピールポイントの実例を挙げてみますので、参考にしてください。
- 両隣がとても親切な家庭で近所付き合いが楽しい
- 評判のいい学習塾がすぐそばにある
- 子どもの通園・通学時は、地域全体で見守り活動があって安心
- 同世代が近所に多く住んでいて、すぐにママ友ができた
- 徒歩圏内の市場では、顔見知りになるとサービスしてくれる
- 夜は交通量がなく静かで、寝るときは音が全く気にならない
- 災害時の避難場所である公民館がすぐそばにある
- 地域全体で防犯意識が高い
- 自治会活動の負担が少ない
- 駅まで普通に行けば徒歩10分だが、公園内を通れば5分で行ける
- 何年後かに新しい道路と図書館ができる
- 北向きだが夏は涼しくて快適
- マンションの管理人さんがとても親切
これらの内容を、不動産会社の担当者が事前に把握するのは難しいでしょう。
そのため長所と感じたり、アピールポイントになるかも知れないと感じたりしたことは、細かい内容でも遠慮せず担当者に話しておきましょう。
売り主だけが知っているその物件の魅力は、物件の特徴や個性にもつながり、売却のキッカケになるかもしれません。
2-3.伝え方次第で、短所が長所になることもある
伝え方次第で一般的にはデメリットでも、アピールポイントになることがあります。
例えば、あまり人通りがないことを「閑散として寂しい」と伝えるか、「静かで快適」と伝えるかで、聞いた方の印象は大きく変わります。
他にも、一般的には土地と接面道路の高低差はない方が価格が高くなりがちですが、高低差があることで、価格が安い以外にプライバシーが確保しやすいというメリットにつながるかもしれません。
また、土地は南向きがいいとされますが、日当たりなどをあまり気にしない人にとっては、北向きで価格が安くなればむしろメリットです。
逆に一見アピールポイントと感じそうなことが、人によってはデメリットになることもあります。
例えば「近所に同世代が多く賑やか」なことはポジティブな印象を受けますが、近所付き合いが苦手な人にとってはむしろデメリットかもしれません。
このようにニーズによって物件の評価は変わりますが、売却する物件は1つで、売却を成立させるには、物件の特徴と好みがあった1組の買い主さえ見つかればいいのです。
いずれにしても、普通は短所と捉えられることも伝え方次第でアピールポイントになることがありますので、住んでいて感じたことは不動産会社の担当者と共有しておきましょう。
3.まとめ
今回は、売り主が感じているアピールポイントがなぜ大切なのかを、実例を挙げて解説しました。
売り主が感じているアピールポイントを購入希望者に伝えることで、思ったよりも早く売却につながるかもしれません。
改めてご自身で物件のアピールポイントをまとめて、不動産会社の担当者と内容を共有しておきましょう。
この記事を見て、皆さんの販売活動がスムーズに進むことを願っています。