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【ブログ】中古物件の売主必見!瑕疵保険の費用や仕組み、メリットのまとめ

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2022.11.20

目次

中古物件の売主 瑕疵保険の費用 瑕疵保険のメリット

「家を売る時に、瑕疵保険って入るべき…?」

中古住宅の売却前。瑕疵保険に入った方がいいという話を聞いたが、売却前にあまりにも費用がかかるのは困る。しかし、入らずに何かあったらさらに困る。

保険に入ることでかかる費用やメリットが曖昧で、加入を躊躇していませんか。

瑕疵保険とは、住宅の構造耐力上主要な部分および雨水の侵入を防止する部分等について瑕疵(欠陥)が発見された場合、修繕費用の支払い損害賠償の補償がされる保険です。消費者保護の観点から作られました。

具体的に、瑕疵の対象となるのは、​​柱や基礎、外壁や屋根など。構造耐力上主要な部分と雨水の侵入を防止する部分です。

引用:株式会社住宅あしん保証「あんしん既存住宅売買瑕疵かし保険 契約内容のご案内」より

中古住宅用の瑕疵保険は「既存住宅売買瑕疵保険」と呼ばれることもあります。

『中古物件の取引において、瑕疵保険への加入は任意』とされています。

あくまでも保険。トラブルなどが何もなければただ保険料を支払っただけになりますが、何かあった場合にはとても心強い存在です。

家や土地の売買は、売主買主ともに人生を左右する重要な機会。大きな金額が動くこともあります。

お互いが安心して売買を進められるよう、瑕疵保険への加入は前向きに検討していく必要があるのです。

保険加入にかかる費用は『2.6〜7.5万円』。

広さや保証期間、補償金額、特約によって変動します。

本記事では、瑕疵保険の加入における費用の詳細や、加入できる条件、売主が加入する場合のメリットを解説しています。

記事を読み終えてから瑕疵保険への加入を検討することで、損なく安心した取引につながる判断ができるでしょう。


監修者情報 印南和行
(宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、一級建築士、一級建築施工管理技士、不動産コンサルティング技能士試験合格) 全国不動産売却安心取引協会 理事長。住宅専門チャンネル「YouTube不動産」が「わかりやすくて参考になる」と大好評でチャンネル登録者9万人、総視聴回数2100万回を超える(2023年5月1日現在)。著書に「プロ建築士が絶対しない家の建て方」(日本実業出版社)、「プロが教える資産価値を上げる住まいのメンテナンス」(週刊住宅新聞社)がある。



1.瑕疵保険に入る場合の費用相場

瑕疵保険に入る場合、保険料の費用相場は『2.6〜7.5万円』。

その費用は、加入する保険商品ごとに異なります。売主がだれか、そして保険期間や保険金額をどのくらいにするか。これらの判断次第で負担額は変わるのです。

ここでは、保険商品を選ぶ際の流れにそって説明します。

1-1.売主はだれか

『売主が誰かによって加入する保険商品の種類が変わります。』

パターンは2つ。売主が「宅建業者の場合」と「宅建業者以外(個人間売買)の場合」です。

まず、売主が「宅建業者の場合」について説明します。

これは宅建業者が中古住宅を買い取っている場合。仲介ではないので、売主自体が宅建業者になります。

この場合、保険加入者は宅建業者です。

もう一方の「宅建業者以外(個人間売買)の場合」について説明します。

この場合、売主は個人。個人の売主が宅建業者に仲介をお願いし買主を探してもらう場合や、個人の売主が自力で買主を見つけて売る場合が当てはまります。

保険加入者は、宅建業者又は検査事業者のどちらかとなります。

中古住宅の場合は、多くの売主は「個人」となるため、この『「宅建業者以外(個人間売買)の場合」の加入が多いです。』

1-2.保険期間と保険金額をどのくらいで設定するか

瑕疵保険の「保険期間」と「保険金額」についてです。

通常、保険期間は3つのタイプ、1年間、2年間、5年間のものがあり、保険金額とともに選択していきます。

1年間・2年間の保険の場合、保険金額は200万円、500万円、1,000万円より選べます。

5年間の場合、保険金額は1,000万円のみです。

なお、売主が宅建業者の場合は、保険期間1年は選択できず、2年以上となります。

1-3.保険料の相場

一般的な保険料(中古戸建住宅※特約なし)の相場はこちらです。

参考:「国土交通大臣指定 住宅瑕疵担保責任保険法人 (株)日本住宅保証検査機構」より

たとえば、標準的な一軒家の広さである30坪(100平米)を基準に考えると、2年間で500万円の保険金額をかける場合、保険料は3.0万円前後となります。

なお、保険料は保険法人(※住宅瑕疵担保責任保険法人)や建物の規模、保険内容によって異なります。保険法人がそれぞれで設定してよいことになっているからです。

また、上記の金額には現場検査などの費用を含んでおりません。詳細は保険会社や検査事業者に問い合わせをしてみましょう。

2.瑕疵保険の費用負担はだれか

『瑕保保険の保険料の負担者は、売主・買主のどちらでもかまいません。』

中古物件の場合は、瑕疵保険への加入は任意です。しかし、保険に加入している物件は買主に安心感を与えることができます。

そのため、付加価値を付けて売りたい場合には売主が加入し、買主がどうしても保険を付けたい場合には買主が加入することになります。

瑕疵が発見された時、基本的に保険金の支払い主である「住宅瑕疵担保責任保険法人」は、被保険者に修繕費として保険料を支払います。

瑕疵保険の場合、被保険者(加入主体)は、「宅建業者」か「検査機関」です。

つまり、インスペクションを行う「検査機関」が被保険者となっているため、「検査機関」は、修繕にあてる保険金を「住宅瑕疵担保責任保険法人」から直接受け取り、修繕をすることとなります。

このように基本的には、個人の売主・買主が「住宅瑕疵担保責任保険法人」と保険金の受け取りについてやりとりをすることはありません。そのため、保険料の負担はどちらでも構わないのです。

例外として、『被保険者の宅建業者や検査機関が倒産等により、補修等を進められない場合があります。その場合は、「住宅瑕疵担保責任保険法人」から「買主」に直接保険金の支払いをすることがあります。』

引用:株式会社住宅あんしん保証「あんしん既存住宅売買瑕疵保険の概要」より



3.瑕疵保険の加入条件

中古住宅の瑕疵保険に加入するには、2つの条件があります。

1)新耐震基準(昭和56年6月1日以降の耐震基準)に適合している建物

2)インスペクションに合格している建物

まず、1)『新耐震基準(昭和56年6月1日以降の耐震基準)に適合している建物』かどうかです。

新耐震基準等を満たすことが確認できる次のいずれかに当てはまる住宅であることが求められています。

イ・ウについては、新耐震基準に適合することが確認できる書類があれば、耐震基準の要件を満たすことになります。

その書類は、耐震診断結果報告書、既存住宅に係る建設住宅性能評価書、耐震基準適合証明書の写しなどです。

次に、2)『インスペクションに合格すること』が必要です。この検査は、事前現場検査等と呼ばれることもあります。

瑕疵保険の付保のための検査は「既存住宅状況調査技術者の資格者」が行っているものの必要があります。

既存住宅状況調査技術者とは、既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士等です。

インスペクションといっても、様々なインスペクションがありますが、『瑕疵保険に加入するためには専用のインスペクションを受ける必要があるので注意しましょう。』

瑕疵保険の登録検査事業者はこちらのサイトで検索が可能です。

「かし保険を利用する登録事業者等の検索」

また、インスペクションは、床下・屋根裏(小屋裏)点検口がなく、脚立などを用いて頭を内部に入れられない場合には、実施できない可能性があります。

売却する物件を確認しておきましょう。

4.加入する場合の売主のメリット

瑕疵保険に売主が加入することのメリットは2つあります。

1)家が売りやすくなる

2)売却後、瑕疵保険対応部分の修繕費の負担がゼロになる

住宅販売においてメリットが大きいものから順に説明します。

4-1.家が売りやすくなる

瑕疵保険に入ることで家が売りやすくなります。

なぜなら、瑕疵保険は買主である消費者を保護するためのものだから。保証が約束されている中古物件として買主に安心感を与えることができるのです。

そもそも瑕疵保険の制度は、2005年に起きた耐震偽造事件(姉歯事件)がきっかけで生まれました。

この事件では、マンションの耐震偽造が見つかり、その購入者は施工業者に補修費用を請求したが、企業が倒産したため補修費用が出ず、購入者である消費者がダメージを負う悲劇が起こりました。

これを受け、業者が倒産などで資力がなくなったとしても、消費者を保護し保証を行う仕組みとして瑕疵保険の制度が確立したのです。

実際に、公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会が行った「中古住宅瑕疵担保保険制度加入における売却時の効果」の調査によると、『買手が早く見つかり売却がスムーズにできた』という回答が47.1%と上位を占めています。

引用:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会「土地・住宅に関する消費者アンケート調査」

4-2.売却後、瑕疵保険対応部分の修繕費の負担がゼロになる

瑕疵保険に入っておけば、売却後に万が一瑕疵が発見された場合でも保険で対応できるため、基本的には修繕費の負担がゼロになります。

そのため、心配することなく前向きに売却を進めることができます。

当然ですが、中古物件は新築物件に比べると、雨漏りなどが起こる確率は高くなります。そして、その多くが売却後1年目に起きているのです。

国土交通省がまとめた既存住宅売買瑕疵保険の保険事故発生状況をみると、1年未満の事故(事故というのはいわゆる保険支払い対象となる雨漏り等の不具合のことです)、これがもっとも多くなっていることがわかります。

引用:国土交通省 制度施行10年経過を見据えた住宅瑕疵担保履行制度のあり方に関する検討会
報告書 参考資料より

5まとめ

今回は『瑕疵保険の費用相場やその仕組み、売主のメリット』について解説しました。

瑕疵保険に加入した場合かかる『保険料の相場は2.6〜7.5万円』。

これは、保険機関や保険金額の設定によって変動します。

売主が宅建業者の場合は、保険期間の設定は2年もしくは5年しか選べませんが、売主が個人として既存住宅を販売する場合、1年・2年・5年のパターンで保険期間を選択することができます。

中古物件の瑕疵保険加入は義務ではありません。そのため、売主が加入しても、買主が加入しても、両者ともに加入をしなくても特に問題はありません。

瑕疵保険に加入をしたい場合の条件は、こちらの1と2を満たしていることが必要です。

『1)新耐震基準(昭和56年6月1日以降の耐震基準)に適合している建物』

こちらのア・イ・ウのうちどれかに該当している必要があります。

『2)インスペクションに合格している建物』

瑕疵保険に加入するためには専用のインスペクションを受ける必要があるので注意しましょう。

最後に、売主が瑕疵保険に加入をするメリットです。

以上の費用相場や、メリットを踏まえて、瑕疵保険への加入を前向きに検討していきましょう。

家の売買契約は、人生を左右する大きなできごと。

できるかぎり気持ちよく取引ができるよう、本記事でお伝えした費用の相場やメリットを踏まえ、瑕疵保険について前向きに検討していきましょう。

この記事が、瑕疵保険に加入するかどうかの判断をするために、役に立つことを願っています。


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