ちゃんと報告を受けていますか?不動産会社から受ける状況報告4つのチェックポイント
「売却する家の販売活動が始まったのに、不動産会社から報告が少なくて心配」販売が始まっても不動産会社から状況の報告がないと不安ですよね。
しかし、販売状況を不動産会社と共有しておかないと、ただ不安になるだけでなく、売却そのものがスムーズに進まない恐れがあります。
そこで、この記事では、不動産会社の状況報告が大切な理由やチェックポイントを解説します。
この記事を読むと、状況報告から不動産会社の良し悪しがわかって、スムーズな売却に向けての大きなヒントを得られるでしょう。
監修者情報 印南和行
(宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、一級建築士、一級建築施工管理技士、不動産コンサルティング技能士試験合格) 全国不動産売却安心取引協会 理事長。住宅専門チャンネル「YouTube不動産」が「わかりやすくて参考になる」と大好評でチャンネル登録者9万人、総視聴回数2100万回を超える(2023年5月1日現在)。著書に「プロ建築士が絶対しない家の建て方」(日本実業出版社)、「プロが教える資産価値を上げる住まいのメンテナンス」(週刊住宅新聞社)がある。
1 売り主が不動産会社から受ける状況報告(業務処理状況報告)とは
売り主が不動産会社から受ける状況報告は、媒介契約によっては義務となっており、さまざまな役割がある大切なものです。
1-1 媒介契約の種類によって、報告は義務付けられている
売り主と不動産会社が売却にかかる媒介契約を結ぶと、契約の種類によって、不動産会社には販売の状況を売り主に報告する義務が生じます。
これは宅地建物取引業法第34条において、専任媒介契約を締結した不動産会社は、依頼者に対し業務の処理状況を2週間に1回以上、専属専任媒介契約にあっては1週間に1回以上、報告しなければならないとされているからです。
そのため、専任媒介契約や専属専任媒介契約の契約書には報告義務が明記されており、手法についても「書面」か「電子メール」か、どちらかを選択することになっています。
1-2 報告書はどのようなものなのか
報告書に決まった様式はありませんが、「業務処理状況報告書」や「営業活動報告書」などと呼ばれることが多く、記載内容も不動産会社によってさまざまです。
主な記載内容は不動産会社が期間中に実施した販売活動内容、電話・店頭など顧客からの問い合わせ件数、内覧件数、対応時の顧客の手ごたえ、所感などになります。
書面に目を通すことで、不動産会社の仕事ぶりや、売却する不動産の市場での反響などを把握することが可能です。
1-3 状況報告が大切な理由
「業務処理状況報告書」などの状況報告によって、売り主と不動産会社が現在の状況を共有し、今後の販売に向けた課題などについて共通認識を持つことが可能になります。
つまり、販売状況を報告することは、単なる義務の履行にとどまらず、売り主と不動産会社をつなぐ「コミュニケーションツール」なのです。
さらに売り主と不動産会社の担当者が販売の方向性を共有することで、その後のスムーズな販売活動へつながっていきます。
逆に報告が不十分だと、売り主と不動産会社の間で現状認識に齟齬が生じ、不信感が生まれやすくなるだけではなく、迅速な対応や判断が必要な販売活動に悪影響があります。
結果として売却がスムーズに進まない要因の1つになる恐れがありますので、注意が必要です。
2 報告書のチェックポイント
報告を受けた売り主がチェックするポイントは「不動産会社の販売活動」「市場の反響」「顧客の反応」「不動産会社の所感」などです。
2-1 不動産会社の販売活動は十分なものか
まず、不動産会社の販売活動が納得いくものか確認する必要があります。
報告書には不動産ポータルサイトへの掲載をはじめ、レインズ登録、店頭での顧客への紹介、他社への紹介、広告チラシの実施有無などが記載されているはずです。
媒介契約前に不動産会社が実施するといっていた販売活動の内容と一致しているか、また売り主として希望する販売活動になっているかチェックしましょう。
もし、実施内容に違和感を覚えるようであれば、不動産会社の担当者に内容や今後の販売活動の予定を確かめてみましょう。
2-2 問い合わせの有無など市場の反響はどうだったか
次は市場の反響を確認しましょう。
報告書に記載された不動産会社への問い合わせや、内覧の件数などで市場の反響を確かめることが可能です。
他にも市場の反響に関する担当者の所感などが記載されていないか、チェックしておきましょう。
とくに問い合わせがないなど市場の反響が良くない場合は、今後販売活動や販売価格の見直しなどを迫られる可能性があります。
市場の反響が悪いのは、例えば「広告量が足りない」「広告内容が薄く、顧客に響かない」「価格が高すぎるため関心を集められない」などの原因が考えられ、対策も原因次第です。
しかし、原因に対する売り主と不動産会社の担当者の認識が一致しないと、次の対策がまとまらず販売活動が後手に回りかねません。
不動産会社の担当者に任せっきりにするのではなく、売り主側でも担当者の意見を聞いて、何が原因なのか認識を一致させておくことが大切です。
2-3 内覧や問い合わせ時の顧客の反応はどうだったか
実際に問い合わせがあったり、内覧を希望した人がいたりした場合は、どのような状況だったのか記載内容を確認し、詳細を把握しておきましょう。
内覧に来るような人は、物件により高い関心を持った買い主の候補です。
そのため、内覧時には具体的な感想を聞ける可能性も高く、今後の販売戦略の参考にもなります。
場合によっては「物件は気に入ったが、価格が高い」「キッチンはリフォームの必要があるのがネック」「引き渡し時期が折り合わない」など、売却に向けた具体的な課題や条件などが提示されることもありますので注意が必要です。
そのため、売り主も報告書で気になったり、わからないところがあったりした場合は、どんな様子だったか担当者に電話等で確かめてみてもいいでしょう。
2-4 不動産会社の所感や今後の販売方針
報告書に担当者の現状認識や今後の方針が盛り込まれていれば、内容を十分に把握しておきましょう。
実際にやった販売活動や顧客への対応が報告されるのは当然ですが、それ以上に大事なことは、今後の販売に向けて不動産会社の担当者が何を必要と感じているかです。
例えば、問い合わせが少ないことに対し広告を見直すのか、販売価格に問題があるのか、あるいは内覧から成約にこぎつけるには何が必要かといったことになります。
このような担当者の所感や今後の方針から、不動産会社の販売戦略を垣間見ることも可能です。
販売開始して間もないときは、少し様子を見ることが必要な場合もあるでしょうが、担当者の所感などがない場合は、直接問い合わせて今後の方針などを聞いてみましょう。
3 こんな不動産会社だったら、契約の見直しも検討しよう
不動産会社の販売活動を知り、共通認識を作る上でも重要な状況報告ですが、報告内容次第ではスムーズな売却活動が期待できず、不動産会社の媒介契約を見直す必要性があります。
3-1 報告がおろそかな不動産会社
もし、法で規定された報告義務さえ守れないような不動産会社であれば、そのまま媒介契約を継続することはおすすめできません。
義務として不動産会社に課された報告は、あくまでも最低限のものです。
本来は義務としての報告だけでなく、必要に応じて電話などで即座に報告・相談するなど、不動産会社は常に売り主と円滑なコミュニケーションを図らなければなりません。
にもかかわらず、最低限の報告さえ怠ったり、できなかったりする不動産会社は信頼に値しません。
このような不動産会社であれば、あまり躊躇することなく、媒介契約の見直しを含めて検討する必要があります。
3-2 販売活動が不十分な不動産会社
不動産会社の報告内容から、不動産会社の販売活動が十分ではないと感じたときも媒介契約の見直しを考える必要があります。
とくに媒介契約を締結する前に不動産会社が実施するとしていた販売活動が、実際の内容と違うようであれば注意が必要です。
ただ、販売活動の是非は、販売初期においては誤解が生じる可能性もあります。
例えば、物件単独の広告チラシや現地見学会の実施などは、不動産会社が売れやすい時期を考慮し、戦略的に実施タイミングを図っていても、できるだけ早く販売活動をしてほしいと考えがちな売り主のイメージと異なることもあります。
そのため、まずは誤解がないか、報告をもとに不動産会社の担当者と話をしてみることも大切です。
3-3 方針・対策を考えていない不動産会社
義務をクリアするためだけの内容のない報告で、今後の方針が見えず、対策も考えていないような不動産会社は媒介契約の見直しも含めた検討が必要です。
例えば、引き合いがないのに原因・対策を考えず、ただ顧客を待っているだけの不動産会社や、売り主が価格を下げるのを期待しているだけの不動産会社には販売戦略が感じられず、スムーズな売却は期待できません。
もし、報告内容に今後の方針や対策、担当者の所感などがなければ、売り主からも疑問を投げかけ、遠慮せずに話し合いの機会を持ちましょう。
4 まとめ
今回は、不動産会社の状況報告が大切な理由やチェックポイントを、実例も交えて解説しました。
不動産会社の状況報告にはさまざまな役割が含まれており、とても大切です。
状況報告の内容をよく確認し、疑問点を確かめるなどして不動産会社の担当者と販売戦略や方針を共有しておきましょう。
この記事を見て、皆さんの販売活動がスムーズに進むことを願っています。
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