【ブログ】一般媒介と専任媒介、どっちにするべき!?違いとメリット・デメリットを解説
「一般媒介と専任媒介、どっちを選ぶべき?」
不動産売却の仲介を不動産会社に依頼する際に、一般媒介か専任媒介、どちらか選ばなくてはなりませんよね。
しかし耳慣れない言葉に、戸惑う方も多いかと思います。
ざっくりと説明をすると、
『一般媒介』は複数の不動産会社に同時進行で仲介を依頼することができる契約
『専任媒介』は仲介を依頼する不動産会社を1社だけに絞る契約です。
これだけ聞くと、複数の会社に依頼できる一般媒介の方が、宣伝してくれる会社が多い分、買い手がつきやすそうな気がしますよね。
しかし、一概に一般媒介の方がオススメとは言えません。
なぜなら、媒介契約は売却予定の不動産の築年数や立地によって、選ぶべき契約方法が変わってくるからです。
そこで本記事では、一般媒介と専任媒介のメリット・デメリットと、どちらを選ぶべきかについて詳しく解説しています。
この記事を読むことで、自分が選ぶべき契約方法を正しく把握して、スムーズな不動産売却に向けた第一歩を踏み出すことができるでしょう。
監修者情報 印南和行
(宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、一級建築士、一級建築施工管理技士、不動産コンサルティング技能士試験合格) 全国不動産売却安心取引協会 理事長。住宅専門チャンネル「YouTube不動産」が「わかりやすくて参考になる」と大好評でチャンネル登録者9万人、総視聴回数2100万回を超える(2023年5月1日現在)。著書に「プロ建築士が絶対しない家の建て方」(日本実業出版社)、「プロが教える資産価値を上げる住まいのメンテナンス」(週刊住宅新聞社)がある。
1 媒介契約とは
そもそも媒介契約とは何かというと、売却に向けてどのように営業を行うかや、売却が成功した際の仲介手数料について明確にするための契約です。
この契約は、不動産売買において、不動産会社に仲介を依頼する際に必ず必要となってきます。
特に不動産会社には、不動産売買の仲介の際に依頼者と媒介契約を結ぶよう、宅地建物取引業法によって義務付けられています。
この媒介契約には「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類の方法があります。
これらの主な違いは、下記の5つです。
・契約期間
・複数社と同時に契約できるか否か
・自分で見つけてきた買主と直接契約(自己発見取引)できるか否か
・不動産会社から売主への販売状況の報告義務の有無
・レインズ(不動産流通機構会員専用の情報交換サービス。全国の不動産情報が共有されている。)への登録義務の有無
1-1 一般媒介のメリットとデメリット
一般媒介とは、複数の不動産会社に同時に仲介を依頼する契約です。
3つの中で一番自由度の高い契約で、自分で見つけてきた買主と、直接契約を結ぶことも可能です。その場合、不動産会社を通さなければ、仲介手数料は必要ありません。
契約期間についても、国土交通省が定める標準媒介契約約款に倣い、多くの不動産会社で3ヶ月とされていますが、一般媒介のみ法律的には縛りがありません。
( 有効期間 ) 第8条 一般媒介契約の有効期間は、3ヶ月を超えない範囲で、甲乙協議の上、定めます。
また、一般媒介には明示型と非明示型がありますが、これは、仲介契約を結んでいる不動産会社を明示するか否かの違いです。
一般媒介のメリットとデメリットは下記です。
1-2 専任媒介のメリットとデメリット
専任媒介とは、1社だけに不動産売買の仲介を任せる契約です。
他の不動産会社と同時に仲介を依頼することはできませんが、一般媒介と同様、自分で見つけてきた買主と直接契約をすることは可能ですし、不動産会社を通さなければ仲介手数料は必要ありません。
契約期間は最大で3ヶ月ですが、3ヶ月以内に不動産の売却ができなかった場合は、更新することも可能です。
専任媒介のメリットとデメリットは下記です。
1-3 囲い込みとは
不動産会社の中には、意図的にレインズに登録をしない、いわゆる「囲い込み」をする悪質な会社もあります。
なぜ囲い込みをするのかというと、自社で買主を見つけ、仲介手数料を売主だけでなく、買主からも受け取ることができるというメリットが得られるからです。
売却と購入、どちらも仲介するということに関して言えば、特に問題はありません。
しかし、他社が仲介している買主が購入できないよう、物件情報を意図的に隠されたり、問い合わせがあった際に嘘をついてあえて売れないよう妨害されてしまうと、なかなか物件の売却ができず、その結果、売却価格が下がるなど売主にとって大きなデメリットになります。
レインズへの登録が完了すると、登録証明書が発行されます。いつまで経っても証明書を渡して貰えない場合は、囲い込みを疑うべきです。
専任媒介や、後述の専属専任媒介で契約を結んだ場合は、必ずレインズの登録証明書をもらうようにしましょう。
「専任媒介で囲い込みされないための対策」では囲い込みについて詳しく解説していますので、こちらもぜひ併せてお読みください。
1-4 専属専任媒介のメリットとデメリット
専属専任媒介とは、専任媒介と同様に、1社のみに不動産売買の仲介を任せる契約です。
しかし専任媒介とは違い、自分で買主を見つけても、必ず不動産会社を通すことになります。
そのため、例え親族が購入することになったとしても、契約している不動産会社を経由し、仲介手数料を支払う必要があります。
3つの中で最も自由度が低い媒介契約ですが、不動産会社からの連絡の頻度が高く、スピーディーな対応が期待できる媒介契約でもあります。
専属専任媒介のメリットとデメリットは下記です。
2 選ぶなら専任媒介
3つの媒介契約について解説しましたが、どの方法を選んでも売買金額が400万円超の場合の仲介手数料は
『(売却価格の3%+6万円)+消費税』となるため、不動産会社に支払う金額は変わりません。
そのため、それぞれのメリット・デメリットを比較して契約方法を決める必要があります。
結論からいうと、築浅などで需要が高い物件や、不動産売却を知られたくない人がいる、などの事情がない限り、専任媒介契約がおすすめです。
なぜなら、他の不動産会社が買主を見つける可能性がある一般媒介は、買い手のつきやすい物件でない限り、営業に力を入れてもらえないことが多いからです。
仲介手数料は成果報酬のため、不動産会社は依頼された不動産の売買契約が成立しない限り、報酬を受け取ることができません。これは一般媒介、専任媒介のどちらも同じです。
そのため専任媒介なら、一般媒介とは違って他社が契約してしまう心配がなく、営業努力が無駄になりにくいため、仲介手数料を得るために積極的に営業してもらうことができます。
ちなみに、媒介契約の方法として1番選ばれているのが、専任媒介です。近年その割合はさらに増加しています。
媒介契約のうち、一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の割合
2-1 契約内容の途中切り替えや解約は可能か
「一般媒介で契約をしてしまったけど、やっぱり専任媒介に切り替えたい」
ということもありますよね。
・契約期間の途中で一般媒介から専任媒介へ切り替える
・他社と専任媒介契約を結ぶために解約する
これらは基本的に、無条件で可能です。
ただし、広告宣伝費などの実費を請求される場合もあるため、契約書に解約時の違約金について記載がないかは、必ず確認しましょう。
一方、専任媒介や専属専任媒介を契約期間内に解約するとなると、違約金が発生します。
違約金の上限額は仲介手数料の金額なので、例えば1,000万円の家の専任媒介を中途解約する場合は、
売却価格の3%→1,000万円×0.03=30万円 (30万円+6万円)+消費税10%=39.6万円
つまり違約金は最大で39.6万円となります。
ただし、レインズへの登録や販売状況の報告を怠るなど、不動産会社に落ち度がある場合に限り、違約金なしでの解約が可能です。
3 まとめ
すぐに買主がつくような物件だったり、物件の売却について知られたくないなどの事情がない限り、営業に力を入れてもらえる専任媒介がおすすめです。
特に築古物件であったり、交通の便が悪い立地の物件は、人気物件と比較して売却価格が低い傾向にあり、それに比例して不動産会社が受け取る仲介手数料も安くなります。そのため、買い手がつきにくく、仲介手数料の安い物件は不動産会社にとってあまりメリットがなく、一般媒介では後回しにされがちです。
ただし、専任媒介だと1社に営業を委ねることになるため、希望の条件で売却できるかは営業担当者の力量に左右されやすい、という点には注意が必要です。また、囲い込みのリスクもあるため、不動産会社の見極めが非常に重要になってきます。
囲い込みをする不動産会社の中には、買主からも仲介手数料を得ることができるという理由で、売主の仲介手数料を半額にして、専任媒介契約を結ぼうとする会社もあります。
不動産会社を選ぶ際は、値段以外の要素も必ず確認して、信頼できる会社を選ぶようにしましょう。
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