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不動産の契約解除を考えている人必見!解除の条件と費用のまとめ

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2022.11.02
不動産 契約 解除

「売買契約をキャンセルしたい…」

すでに買主と売買契約を締結済。しかし、事情があり、やっぱりこの不動産を売らずにおきたい。

自分の一方的な都合で契約を破棄することはできるのか、キャンセル費用などどのくらいかかるのかなど、不安に感じていませんか。

売買契約の解除は売主・買主ともに認められた権利。そのため、自分の都合であっても『契約解除は可能』です。

しかし、個人の都合で一方的な解除をする場合は、無料で契約解除というわけにはいきません。

不動産契約は人生を左右する重要なもの。相手方としては、契約後に簡単に解除されては困るからです。

かかる費用は『契約解除の時期』によって変わります。契約後一定期間内であれば、手付金の放棄で契約を解除することができます。

しかし、その期間を過ぎ、相手方がすでに履行に着手している(契約で約束をしたことを進めている)場合、ペナルティとして違約金が発生します。

『手付金の相場は一般的に売買金額の5〜10%』、『違約金の相場は一般的に売買金額の10~20%』。

この具体的な金額は『売買契約書の中に明記されている』のです。

動画では、契約解除で見るべき売買契約書のポイント、契約解除にかかる費用や条件を解説します。

動画を最後まで視聴してから、売買契約書を見ることで、契約解除でかかる費用の不明点がなくなり、スムーズに契約解除の検討をすることができるでしょう。


監修者情報 印南和行
(宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、一級建築士、一級建築施工管理技士、不動産コンサルティング技能士試験合格) 全国不動産売却安心取引協会 理事長。住宅専門チャンネル「YouTube不動産」が「わかりやすくて参考になる」と大好評でチャンネル登録者9万人、総視聴回数2100万回を超える(2023年5月1日現在)。著書に「プロ建築士が絶対しない家の建て方」(日本実業出版社)、「プロが教える資産価値を上げる住まいのメンテナンス」(週刊住宅新聞社)がある。



1.契約解除にかかる費用は「売買契約書」でわかる

不動産の契約解除をするかもしれないとなった時、最初にすべきことは『売買契約書の確認』です。

なぜなら、売買契約書をみれば、契約解除にかかる費用や条件がわかるからです。

具体的には、売買契約書の「手付け解除」と「契約違反による解除」の項目を中心にチェックしましょう。

以下のような具体的な費用や手付け解除の期限、各条項が説明されています。

手付解除)
第15条 売主は、買主に受領済の手付金の倍額を支払い、又買主は、売主に支払済の手付金を放棄して、それぞれこの契約を解除することができる。
 2 前項による解除は、下記の事項のいずれかが早く到来したとき以降はできないものとする。
   ① 相手方がこの契約の履行に着手したとき
   ② 標記の期限(E)を経過したとき

<中略>

(契約違反による解除)
第17条 売主又は買主がこの契約に定める債務を履行しないとき、その相手方は、自己の債務の履行を提供し、かつ、相当の期間を定めて催告したうえ、この契約を解除することができる。
 2 前項の契約解除に伴う損害賠償は、標記の違約金(F)によるものとする。
 3 違約金の支払いは、次のとおり、遅滞なくこれを行う。
  ① 売主の債務不履行により買主が解除したときは、売主は、受領済の金員に違約金を付加して買主に支払う。
  ② 買主の債務不履行により売主が解除したときは、売主は、受領済の金員から違約金を控除した残額をすみやかに無利息で買主に返還する。この場合において、違約金の額が支払済の金員を上回るときは、買主は、売主にその差額を支払うものとする。
 4 買主が本物件の所有権移転登記を受け、又は本物件の引渡しを受けているときは、前項の支払いを受けるのと引換えに、その登記の抹消登記手続き、又は本物件の返還をしなければならない。

参考:公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会 より

必ずしも上記と同じ文言や形式であるとは限りませんが、近い項目が「売買契約書」内にあります。

2.契約解除に費用がかかるその理由

契約解除は売主・買主ともに認められた権利であり、契約解除は可能です。

しかし、不動産売買の契約は、売主・買主双方が義務を負う「双務契約」。両者には、契約内容を遵守し、手続きを進める法的な義務があります。

そのため、契約解除は、契約の不履行に当てはまり、ペナルティとして違約金が発生するのです。

たとえば、以下ような自己都合による契約解除の場合には手付金の放棄や違約金の支払いが発生します。

2-1.自己都合に当てはまらない契約解除の例

自己都合にはならない契約解除の例としては、自然災害等で物件を売却できる状態ではなくなってしまった場合など。

このような場合は、売主買主どちらの責めにも帰すことができないため、契約は白紙解除になります。

白紙解除とは、売買契約が最初からなかったかのようなまっさらな状態に戻すこと。つまり、売主は手付を無利息で買主に返還することになります。

また、買主側が融資利用でローンがおりないというやむを得ない状況になった場合も、契約は白紙解除です。

融資利用の場合は、融資を受けられたら購入するという特約を結んであることがほとんど。売買契約書内の記載で確認ができます。



3.契約解除の時期によって変わる「費用」と「条件」2パターン

契約解除は時期によって費用と条件が変わります。
手付解除期間の場合と、それを過ぎてしまった場合の2パターンについて詳しく説明します。

さらに具体例を交えて解説します。

3-1.手付解除期間の場合

契約をキャンセルしたい時期が手付解除期間内の場合、手付金を放棄することで契約を解約できます。これを「手付解除」と言います。

つまり、手付の金額だけの損失を覚悟すれば、相手の債務不履行がなくても自分の都合で契約を解除することができるのです。

一般的な手付の費用は、売買金額の5〜10%。
手付解除の期限は、契約日から1週間~1か月程度が一般的です。

売買契約書内に手付の「金額」と手付解除の「期限」は記載があります。確認してみましょう。

また、買主から解約を申し入れるための条件は、『手付けの放棄』ですが、売主から解除を申し入れる場合は、『手付けの倍額を支払うこと』が契約の解除の条件となります。

具体的に説明します。

たとえば、売主Aさんと買主Bさんが2000万で中古物件の売買契約をしたとします。BさんはAさんに手付金200万を支払っています。

この場合の手付解除は以下のようにして行われます。

ただし、手付解除にも例外があります。
相手方が履行に着手した(契約で約束をしたことを進めた)後は、手付解除できない場合があるため注意が必要です。

履行に当てはまるのは以下のような債務を進めている場合です。

たとえば、買主側の引っ越しの準備や、購入のために定期預金を解約したという場合は履行の着手に当てはまりません。

履行の着手は線引きが難しく、裁判になっている事例もあります。
特に相手方が不動産業者の場合は、手付解除の期限以前に不動産業者が履行に着手しても手付解除が有効となる判例もあります。

判例の資料が記載されたページを概要欄に記載しておきます。
参考資料:「手付解除と「履行の着手」についての一考察」

3-2.手付解除期間を過ぎている場合

手付解除の期間を過ぎている場合や相手方が履行に着手した場合、契約解除にあたり、違約金を支払う必要があります。

違約金は「損害賠償額の予定」の場合と「違約罰」の場合があります。違約金が「損害賠償額の予定」の場合、契約時点でその金額を定めています。

実際の損害額が上回っていても、下回っていても、その金額を違約金として支払います。差額の請求は認められません。

違約金の額は、一般的に売買金額の10~20%が相場です。

原則として売主と買主が自由に決定することができますが、あまりにも多額の金額は認められません。たとえば2000万円の不動産売買の場合は、違約金は200万円〜400万程度が相場となります。

なお、売主が不動産業者である場合、違約金は売買価格の20%を超えてはならないという宅地建物取引業法のルールがあります。

不動産の取引に不慣れな一般の消費者を保護する目的で定められているので、20%を超える契約になっていたとしても、超えた部分は無効になります。

たとえば2000万円の不動産売買の場合に、違約金が500万円と定められていたら100万分は無効です。

違約金が「違約罰」の場合は、実際に発生した損害について賠償責任が発生し、約束した金額を支払います。

また、手付解除とは異なり、一方的な解除は認められず、相手方と話し合いの上で解除を決めることになります。

4.まとめ

今回は『不動産の契約解除についてその条件や費用』について解説しました。

まず、契約解除の可能性が浮上したら、売買契約書の書面を見直しましょう。契約解除の場合に売買契約書内で確認すべき項目はこちらです。

・手付け解除の条項と手付額・手付解除の期限
・契約違反による解除の条項と違約金の額

契約解除は、買主売主ともに権利として認められています。

しかし、家や土地の売買は売主買主ともに人生を左右する重要な契約です。そのため、契約後に簡単に契約を解除できないよう、違約金のペナルティが設けられています。

家や土地の不動産の契約は双方が引き渡しに向けての義務を実行することを約束しているため、契約の不履行に当てはまるからです。

それでも、自己都合でどうしても契約解除をしなければならないという場合は、この2つのパターンを確認しましょう。

契約解除を検討している場合は、自分が当てはまるのはどちらのパターンで、相手に支払う金額はいくらなのかを売買契約書と照らし合わせて正確に把握することができます。

今回の動画が、契約解除を滞りなく進めるためのあなたの手助けになることを願っています。

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