【ブログ】仲介手数料の値引きはできる?上手な交渉のコツ6選
「仲介手数料を安く抑えたい!」
不動産売買の際は、買主は売主と直接交渉することは少なく、多くは不動産会社の仲介によって成り立っています。
仲介手数料とは、不動産売買を仲介してくれた不動産会社に支払う手数料のことです。
仲介手数料は不動産会社によって金額にバラつきがあります。
マイホームを購入するときは土地や建物の購入金額に加え、仲介手数料も把握して計画しなければなりません。
もし仲介手数料の値引きが可能なのであれば、どのようなケースがあるのかや交渉方法も知っておきたいですよね。
そこで本記事では、不動産売買時の仲介手数料の上手な値引き方法を中心に、仲介手数料の相場や注意点をご紹介します。
不動産を売買する前にこの記事を読むことで、仲介手数料の相場や値引き交渉のタイミングを把握できて、不動産会社と上手な交渉に臨むことができます。
不動産売買を検討されている方は、ぜひ参考にされてみてください。
監修者情報 印南和行
(宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、一級建築士、一級建築施工管理技士、不動産コンサルティング技能士試験合格) 全国不動産売却安心取引協会 理事長。住宅専門チャンネル「YouTube不動産」が「わかりやすくて参考になる」と大好評でチャンネル登録者9万人、総視聴回数2100万回を超える(2023年5月1日現在)。著書に「プロ建築士が絶対しない家の建て方」(日本実業出版社)、「プロが教える資産価値を上げる住まいのメンテナンス」(週刊住宅新聞社)がある。
仲介手数料の値引きはできる
まず「仲介手数料の値引きってできるの?」と思う方もいるかもしれません。
結論から申し上げますと、値下げ交渉はできます。
なぜなら、仲介手数料は上限価格が設けられているだけです。
仲介手数料の上限
仲介手数料の上限額は宅地建物取引業法によって定められています。
そのため、不動産会社は不当に高額な仲介手数料を請求することはできません。
仲介手数料の上限価格は、取引額によって異なります。
400万円を超える金額の場合は、次の式で計算することもできます。
『仲介手数料=売却価格×3%+60,000円+消費税』
住宅の売買は基本的に400万円を超えることが多いため、こちらの式を覚えておけば多くの場合は計算できるでしょう。
また売却価格が400万円以下の場合、『低廉な空き家の売買に関する特例』が適用されることがあります。
この特例を適用すると、上限額は『18万円+消費税』です。
実際には、仲介手数料を上限より低くしてくれる会社や、手数料を無料にしてくれる会社もあるようですが、上限いっぱいで請求されるのが一般的だと思ってください。
そのため、仲介手数料を値引きしたい場合は、上手な値引き交渉のやり方を知っておかなければなりません。
では、どのように交渉を進めていけば良いでしょうか。
次の項で説明していきます。
仲介手数料の上手な値引き方法
ここからは仲介手数料の値引き方法について解説します。
まず、値引き交渉にはそれぞれのタイミングがあるため、それを間違えてはいけません。
「不動産会社を決める前」と「媒介契約前」に分けてお伝えします。
不動産会社を決める前に抑えておきたい値引きのコツ
まずは、仲介してもらう不動産会社を決める前に抑えておきたいポイントがあります。
- 中小不動産会社に依頼する
仲介手数料の値引きを考えると中小不動産会社を検討すると良いでしょう。
大手不動産は組織が大きいため、担当者が独断で値引きする権限を持っていないことが多いです。
しかし、中小不動産会社の場合、担当者が決定権を持っていたり、担当者と権限を持っている人との距離が近かったりするため、値引き交渉にも応じやすいのです。
また、大手不動産は知名度が高いため集客に困っていないことが多く、値引きに応じてくれない場合もあります。
いずれにしても、仲介手数料の値引き交渉を前提としている場合には、中小不動産会社に依頼すると良いでしょう。
媒介契約前に抑えておきたい値引きのコツ
ここでは、媒介契約前に抑えておきたいポイントを解説します。
- 値引き交渉は円滑さを心がける
不動産会社との値引き交渉は円滑さを心掛けましょう。
仲介手数料を値引きすると会社の収入は下がってしまいますし、強引な値下げ交渉は印象を悪くしてその後の交渉にも影響を与えます。
どうせ値下げしてもらうのなら、お互いが気持ちよく終えたいものです。
「値引きしてもらえないのなら依頼はしない」といった強硬な姿勢では、担当者も気が進まなくなってしまう可能性があります。
交渉の際は、円滑なコミュニュケーションを心掛け、双方にメリットのある状態で終わらせるのが最も良い値引き交渉といえるでしょう。
- 専任媒介契約を条件に値引きしてもらう
仲介手数料の値引き交渉をするなら、専任媒介契約または専属専任媒介契約を条件に交渉すると良いでしょう。
不動産の売買を依頼する場合に媒介契約を結ぶ必要があります。
媒介契約には一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3つがあります。
一般媒介契約は同時に複数の会社と契約ができるため、不動産会社に広告費をそれほどかけてもらえないなど、積極的に応じてもらえない可能性があるのです。
なぜなら、不動産会社の収入源は仲介手数料ですので、一般媒介契約で複数の会社に売却を依頼して他社で売れてしまった場合に収入がゼロとなってしまうためです。
そればかりか、宣伝活動に使った広告費もかけた分だけマイナスとなってしまいます。
しかし、専属専任媒介契約や専任媒介契約は1社のみの契約となるため、不動産が売れれば必ず仲介手数料は会社に入ってくることになります。
そのため、仲介手数料の値引きにも応じてもらえる可能性は高まるでしょう。
- 媒介契約前に値引き交渉する
仲介手数料の値引き交渉は媒介契約前にしましょう。
不動産会社としては媒介契約を結ばないと利益が得られないため、仲介手数料を多少値引きしても媒介契約の締結を優先する会社もあります。
そのため、仲介手数料の値引きを持ちかけるなら媒介契約前が最善です。
専任媒介契約や専属専任媒介契約を交わしたあとは他社との契約は基本的にできないため、交渉に応じてもらえる可能性は低いでしょう。
交渉のタイミングには注意してください。
- 他の不動産会社と交渉している事実も伝える
不動産会社と媒介契約を結ぶ前に、他の不動産会社と交渉していることを伝えるのも1つの手です。
不動産会社は媒介契約を勝ち取りたいため、値引きしてくれる可能性があります。
その際に、「他社は手数料を値引きしてくれた」「値引きしてもらえないのなら他社にあたる」と他社を引き合いに出すという交渉も効果的です。
ここで一番注意していただきたいのが
不動産会社を比較する際、単純な値引き額だけでは決めないでください。
例えば、
広告をあまりせず、安心安全な取引の為の経費を使わず、売却の戦略のないA社と、
広告に費用をかけ、安心安全な取引の為にも経費を使い、売却の戦略があるB社。
手数料の値引きがあるからといって、単純にA社にするのは危険です。
- キャンペーンを利用して仲介手数料を下げる
これまでは交渉による値下げ方法をご紹介しましたが、交渉しなくても値引きできることがあります。
不動産会社によってはキャンペーンで、クーポンを期間限定で配布していたり、特典や割引がついていたりする場合があります。
そのようなキャンペーンを利用することで仲介手数料を下げることができますが、時期としては繁忙期である4月や9月に行われることが多いです。
キャンペーンの内容は不動産会社によって異なりますが、『売却が完了したら〇〇万円プレゼント』『知り合いを紹介すると割引』といったものです。
こういった機会をうまく活用して手数料を抑えるのもひとつの方法です。
仲介手数料の値引き交渉をするときの注意点
仲介手数料の値引き交渉をするときは注意点があります。
値下げできなくなってしまったり、そもそも売却ができなくなってしまったりと本末転倒な事態を避けるために頭に入れておきましょう。
担当者の意欲が低下する恐れがある
仲介手数料を値引きすると会社側の利益は減ってしまいます。
多くの不動産営業担当者は歩合制のため、無理な交渉をしてしまうと、担当者の意欲が低下するなど関係が悪化してしまう可能性が考えられます。
また、不動産売却の成否は担当者との信頼関係が大切です。
依頼主が強引な値下げ交渉をしてしまうと、担当者との信頼関係は決して良いものにはならないでしょう。
不動産の取引は、不動産会社の意欲や積極性も大きく関係します。
無理な値引きをして、担当者の意欲を削いでしまったり、信頼関係を壊してしまったりすることのないよう注意しましょう。
広告費が削減される可能性がある
値引き交渉をすると、広告費が削減されてしまうことがあります。
不動産の買い手を探すには、ネット広告やチラシで宣伝をしなくてはならず、広告費が必要です。
しかし、広告費は仲介手数料から捻出されているため、仲介手数料を値引きすると、その分の広告費も削減しなくてはなりません。
広告費が削減されてしまうと、当然買主の目にも留まりづらくなり、売れるまでの期間が長くなる可能性が高まります。
販売活動が長期化し、結局値下げすることになってしまう場合もあるでしょう。
広告費が削減されても不動産が売却できれば良いですが、最悪売却できなくなってしまったら本末転倒ですので、このことを考慮して交渉に臨みましょう。
売却活動を後回しにされるリスクがある
仲介手数料を値切ると、不動産会社から売却活動を後回しにされてしまうリスクがあります。
これは仲介手数料を値下げして契約しても、会社の収入が少なくなってしまうためです。
不動産会社の営業担当者は、複数の案件を抱えています。
媒介契約での不動産会社の収入源は仲介手数料ですので、仲介手数料の上限を支払ってくれる依頼者を優先させる傾向にあるため注意しましょう。
条件によっては値下げが難しい場合がある
本動画では、値下げ交渉について紹介していますが、そもそも値下げが難しい場合もあります。
- 売りにくい(人気がない)物件
- 相場よりかなり高い金額で売却したい場合
1つめは、それが売りにくい物件だった時です。
例えば、「かなり田舎で買い手が少ない」「ボロボロの物件」などがこれに該当します。
他にも売りにくい(人気がない)物件の場合、値引き交渉をしてしまっては不動産会社から相手にされない可能性すらあります。
2つめは、
また、相場よりかなり高い金額で売却したい場合も値引きは難しいでしょう。
なぜなら、いくら頑張っても、売却できなければ不動産会社の報酬が得られないからです。
仲介手数料の値引きをするには、相場程度の販売価格でないと成立は難しいでしょう。
担当者が尽力してくれた場合は、正当な報酬を払う
営業担当者も会社員である前に人ですので、自分が努力した結果、正当な報酬を受け取りたいと思うのは当然のことです。
尽力して不動産を売却したにもかかわらず、最後に「仲介手数料を値引きしてほしい」と交渉されると、担当者も残念な気持ちになってしまいますよね。
値引きをしたいと思うのは自然なことですが、担当者の努力あっての不動産取引なので、担当者が出した結果に正当な報酬を払うという意識はとても重要です。
仲介手数料を支払うメリット
これまでにご紹介したように、仲介手数料を値下げすると、担当者の意欲が削がれたり広告費を削られてしまったりとデメリットもあります。
不動産会社の中には、仲介手数料の上限を請求する代わりに、ハウスクリーニングや建物検査などをして高く売れるよう努力してくれる会社もあります。
手数料が高いことはデメリットばかりではなく、早く売れたり高く売れたりすることがあることを考慮すると、一概に値切れば良いというわけでもありません。
手数料にこだわりすぎて、『売却できなかった』『長引いて販売価格を下げた』ということがないよう注意しましょう。
まとめ
今回は、『仲介手数料の値引きはできる?上手な交渉のコツとやり方を紹介!』について解説しました。
仲介手数料の値引きは、方法を知っていれば交渉を上手に進めることも可能です。
交渉のタイミングは契約を結んだ後ではなく、不動産会社を決める前や媒介契約を結ぶ前になります。
また、専任媒介契約を条件に値下げ交渉したり、キャンペーンを利用できるケースもあります。
値下げ交渉をするときは、担当者の意欲を削いでしまう可能性や、広告費が削減されるリスクは頭に入れておきましょう。
上手な交渉方法と注意点を把握して、不動産会社の担当者とは円滑なコミュニケーションを心がけて売買を成功させてください。
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