【ブログ】一般媒介契約って何?専任媒介契約と比べたときのメリット、デメリットを詳しく解説
「大切な不動産を300万円も相場より安く売ってしまった!」
汗水たらして働いて、せっかく手に入れた不動産を、知識がないばかりに安く売ってしまったら後悔してもしきれないですよね。
しかし、不動産の売却を一生のうちに何度も経験するという人は少ないです。
このような場合、不動産会社の担当者に言われるがままに売却をお願いして、気付いたら売れてしまっていたということになってしまうかもしれません。
不動産の売却を不動産会社に依頼する場合「媒介契約」を結ぶ必要がありますが、媒介契約には3つの種類があるということをご存知でしょうか?
媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。
それぞれにメリット、デメリットがありますので、不動産会社の担当者に提案されるがままに媒介契約を結んでしまうと、思わぬ損をしてしまうかもしれません。
今回は、不動産の売却活動を始める前に知っておくべきこととして、一般媒介契約とは何か?他の媒介契約と比較したときのメリット、デメリットについて解説していきます。
不動産の売却は初めてという初心者の方でも、分かりやすくお伝えしていきますので、是非、安心して取り組んでみてくださいね。
監修者情報 印南和行
(宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、一級建築士、一級建築施工管理技士、不動産コンサルティング技能士試験合格) 全国不動産売却安心取引協会 理事長。住宅専門チャンネル「YouTube不動産」が「わかりやすくて参考になる」と大好評でチャンネル登録者9万人、総視聴回数2100万回を超える(2023年5月1日現在)。著書に「プロ建築士が絶対しない家の建て方」(日本実業出版社)、「プロが教える資産価値を上げる住まいのメンテナンス」(週刊住宅新聞社)がある。
一般媒介契約とは?
一般媒介契約とは、不動産を売りたい人、もしくは買いたい人が不動産会社と媒介契約を結ぶときの契約になります。
一般媒介契約のメリット、デメリット、どういった人に向いている媒介契約なのかを詳しく解説していきます。
一般媒介契約の5つのメリット
一般媒介契約における5つのメリットを売り手にとってメリットの大きい順から紹介します。
1.複数の不動産会社に販売活動を依頼できる
2.知り合いなど、買いたい人が見つかった場合に直接取引できる
3.レインズへの掲載義務がないため、周囲に知られずに売却活動も可能
4.購入希望者を比較して、より良い条件を選ぶことができる
5.解約はいつでも可能
1.複数の不動産会社に販売活動を依頼できる
一般媒介契約は、複数の不動産会社に販売活動を依頼することができます。
1社の不動産会社に売却を依頼するだけじゃ不安という人は、一般媒介契約を結ぶことで2社、3社と同時に依頼ができます。
複数の不動産会社に同時に依頼することで、より多くの人に物件情報を届けることができ、より良い条件で売却できる可能性が高まります。
もちろん、希望すれば5社、10社とより多くの不動産会社と媒介契約を結ぶことも可能です。
2.知り合いなど、買いたい方が見つかった場合に直接取引ができる
一般媒介契約は、直接取引可能なので、出費を抑えることが可能です。
自ら買いたい人を見つけて個人間で不動産売買をすることが認められているためです。
不動産会社に対して売却の依頼をしていたとしても、知人、友人で不動産購入を検討している人を見つけることができれば、個人間で売買をしても大丈夫です。
個人間で不動産売買をすることができれば、一般媒介契約を結んでいた不動産会社に対して仲介手数料を支払う必要がなくなります。
3.レインズへの掲載義務がないため、周囲に知られずに売却活動も可能
一般媒介契約は、売却していることを近所の人や家族に知られることなく販売活動をすることができます。
REINS(レインズ)に登録する義務がありませんので、知らない間に近所の不動産会社で販売掲載されてしまい、身近な人に知られてしまうリスクを減らすことができるからです。
通常、媒介契約を結ぶことでレインズに物件情報を登録をします。レインズに物件を登録することで、全国の不動産会社に売却したい物件情報を届けることができますから、早期売却のチャンスは増えます。
一般媒介契約であってもレインズの掲載は可能になります。一般媒介契約を結びつつもレインズでより多くの人に物件情報を届けたいという場合は、レインズ登録を依頼すれば問題有りません。
補足:レインズって何?
レインズ(REINS)とは、不動産流通機構が運営しているシステム。不動産流通機構は国土交通大臣から指定を受けているため、不動産業界の中でも信頼性の高いシステムになります。
参考:レインズとは?
出典:国土交通大臣指定 公益財団法人 東日本不動産流通機構公式ページ
4.購入希望者を比較して、より良い条件を選ぶことができる
一般媒介契約は、複数の不動産会社に依頼をすることで、より良い条件で購入してくれる人を選ぶことができます。
一般媒介契約の特徴として、2社以上の不動産会社に依頼することができます。
不動産会社からすれば、他社との競争に勝たないと選んでもらえませんので、買いたい人に対して、少しでも有利な条件で話がまとまるように励んでもらえます。
特に、購入希望者が多く集まるような優良物件の場合は、より強い競争原理が働きますので一般媒介契約を結ぶメリットが高くなるといえるでしょう。
5.解約はいつでも可能
一般媒介契約は、契約期間中にいつでも解約することができます。
通常、3ヶ月などの期間を定めて媒介契約を結ぶことが多いですので、期間が経過するまで解約できないと考えられているケースも多いですが、いつでも自由に解約が可能です。
解約の際も、特に書類の提出や手続きは不要です。一般的には、電話で解約の意思を伝えるだけでも一般媒介契約の解約ができ、手数料や違約金もかかりません。
しかし、不動産会社によっては一般媒介契約であっても、広告宣伝費や手間賃として、解約の際の費用を記載している可能性があります。
一般媒介契約の書面とは別に書面を取り交わしている場合などは注意が必要です。
一般媒介契約を結ぶ際には、途中解約の際の費用などがあるか、きちんと不動産会社と話し合っておくことが大切です。
一般媒介契約の2つのデメリット
一般媒介契約の2つのデメリットを売り手にとってデメリットが大きい順から紹介します。
1.不動産会社によっては積極的に販売活動をしてくれない
2.不動産会社からの販売状況の報告義務がない
1.不動産会社によっては積極的に販売活動をしてくれない
一般媒介契約では2社以上の不動産会社と媒介契約を結ぶことで、同時に販売活動を依頼することができます。
一見、メリットしかなさそうですが、物件によっては不動産会社が積極的に販売をしてくれない可能性があります。
不動産会社の立場からすると、常に他社との競争があります。
せっかく手間や費用をかけて広告宣伝に励んだとしても、他社で売買が成立してしまっては1円の仲介手数料も受け取ることができません。
駅チカの築浅人気物件などであれば、早期売却の可能性が高いので販売活動を優先してくれるかもしれませんが、売却が難しい条件や物件であれば、販売の優先順位を落とされてしまって売却に想定以上の時間がかかる可能性があります。
一般媒介契約を結ぶ際には、不動産会社の査定結果をきちんと確認して、現実的に売却しやすいかどうかを確認した上で判断するのが良いでしょう。
2.不動産会社からの販売状況の報告義務がない
一般媒介契約は、不動産会社に販売状況を報告する義務がありません。
不動産売却に慣れている人であれば、無駄に販売報告されるのは手間なのでよいかもしれません。
一方で、不動産売却に慣れていない人であれば、もうすぐ売れそうなのか、全く売れそうにないのか、分からないのは不安に感じてしまうかもしれません。
どのくらい問い合わせがきているのか分からなければ、販売価格の減額や、販売戦略の見直しをするきっかけを失ってしまいます。
定期的に不動産会社から販売報告をしてほしいという人は、一般媒介契約ではない媒介契約を検討するのも選択肢になってくるでしょう。
一般媒介契約が向いているのはこんな人
一般媒介契約が向いている人の3つの特徴を解説していきます。
1.人気エリアの不動産を売却したい人
2.不動産会社選びで失敗したくない人
3.近所に内緒で売却活動したい人
詳しく見ていきましょう。
1.人気エリアの不動産を売却したい人
人気エリアの不動産を売却する場合は、より良い条件で売れるように一般媒介契約を活用するのもおすすめです。
人気エリアであれば、物件情報を待っている人も多いため、一般媒介契約であっても不動産会社も積極的に販売活動をしてくれる可能性が高いです。
結果として、複数社に依頼することで、より良い条件で購入してくれる買主を見つけられる可能性があがります。
せっかく人気エリアの不動産を売却するのであれば、一般媒介契約で少しでも良い買主を探してもらうのが良いでしょう。
2.不動産会社選びで失敗したくない人
良い不動産会社に依頼できたかどうかは、売却という結果だけでなく、他の不動産会社との比較によって見極めることができます。
一般媒介契約であっても積極的に販売活動をしてくれるか。
販売状況の報告は適切に行なってくれているか。
なかなか1社の不動産会社とだけのやり取りでは見抜くことは難しいです。
そのため、一般媒介契約で複数の不動産会社に依頼することで、より良い不動産会社を選べる可能性が高まります。
3.近所に内緒で売却活動したい人
一般媒介契約は、レインズ(REINS)への登録義務がありません。
つまり、一般媒介契約ではない媒介契約ではレインズに登録をしなくてはならないということです。
近所に知られないために、遠方の不動産会社に依頼していたとしても、レインズに登録されることによって、近所の不動産会社にも売却情報が届いてしまいます。
より多くの不動産会社に物件情報が届くことで、思いもよらないところで、売却していることを知られてしまう可能性が高まります。
事情があり売却していることを知られたくない人は、一般媒介契約を選ぶのが安心といえるでしょう。
一般媒介契約を結んだ後に気をつける3つのこと
一般媒介契約を結んだ後に気をつけるべき点が3つあります。
1.3ヶ月を目安に価格や販売方法の見直しをする
2.一般媒介契約から専任媒介契約への切り替えを検討する
3.媒介による仲介売却ではなく買取売却も検討してみる
3つのポイントを抑えておかないと、一般媒介契約を結んだにも関わらず手間ばかりかかってしまい、いつまでも不動産の売却ができず損をしてしまうかもしれません。
3つのポイントを抑えることで適切な販売活動ができます。
1.3ヶ月を目安に価格や販売方法の見直しをする
一般媒介契約は3ヶ月の媒介期間で契約をするケースが多いです。
そのため、3ヶ月以内で販売できる価格を販売価格に設定することが多くなります。
3ヶ月が経過しても売れていないということは、販売価格が相場よりも高い可能性があります。
一般媒介契約を結んだからといって放置するのではなく、3ヶ月という期間を目安にして、販売価格の見直しをしていくのが良いでしょう。
2.一般媒介契約から専任媒介契約への切り替えを検討する
一般媒介契約を複数の不動産会社と結ぶことで、信頼できる不動産会社が見つかったのであれば、専任媒介契約への切り替えも検討してみるのがいいでしょう。
一般媒介契約から専任媒介契約に切り替えることで、不動産会社としても信頼して任せてくれたということが伝わりますし、より一層、販売活動に力を入れてくれる可能性もあります。
専任媒介契約に切り替えることで、不動産会社からの販売状況の報告も義務化されますので、1社の不動産会社とより密なやり取りをしていくことができるでしょう。
3.媒介による仲介売却ではなく買取売却も検討してみる
不動産を売却する方法として、仲介売却だけでなく、買取売却も選択肢になってきます。
一般媒介契約では、不動産会社に仲介を依頼して買いたい人を探してもらいますが、買いたい人が見つからない場合、いつまでたっても売れない状態が続いてしまいます。
一方で、買取売却の場合は、不動産会社が買主になりますので早期売却をすることができます。
もちろん、買取価格になってしまうなどのデメリットはありますが、一般媒介契約でいつまでたっても売れないという場合、買取の査定も依頼してみるというのは1つの方法といえるでしょう。
一般媒介契約と専任媒介契約との違いを解説
ここからは一般媒介契約と他の媒介契約との違いを解説していきます。
媒介契約は、一般媒介契約を含む3つの種類があります。
・一般媒介契約
・専任媒介契約
・専属専任媒介契約
一般媒介契約の特徴を基準にした、専任媒介契約との違いを図でまとめました。
一般媒介契約のまとめ
一般媒介契約は、2社以上の不動産会社と同時に媒介契約を結ぶことができます。
一般媒介契約に向いている人としては、
・人気エリアの不動産を売却したい人
・不動産会社選びで失敗したくない人
・近所に内緒で売却活動したい人
こういった人におすすめの媒介契約になります。
一般媒介契約を結んだ後、3ヶ月経過しても販売活動が進んでいないようなら、
・販売価格を見直す
・専任媒介契約へ切り替える
・買取売却も検討する
こういった対策を検討するのが良いでしょう。
不動産売却に踏み切るのが不安という人は、まずは一般媒介契約で複数の不動産会社に依頼をする。その上で、慣れてきたら価格の見直しや不動産会社の厳選をしていくというのは良いでしょう。
媒介契約は不動産売却を始める最初のステップといえます。一般媒介契約がご自身に合っているのか、メリット、デメリットをよく理解した上で、不動産の売却活動に取り組んでいきましょう。
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