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空き家になった実家の解体費用が払えないときの対策3選。放置リスクや解体費の相場も紹介

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2023.12.30

「空き家になった実家を早く解体したい」
「借地に建っている実家は、地代もかかるので解体したい」

そんな風に思っていても、家計に余裕もなくて解体費用が払えないし、そもそも解体費用がいくらかかるのかもわからない。

また、解体費用の負担は誰がするべきなのか、空き家を放置するとリスクがあると聞くけど、どんなものなのかハッキリしないものです。
そんな悩みや疑問はありませんか。

解体費用が払えないからといって、そのまま放置していると、近隣住民とのトラブルに発展したり、酷いときは建物が倒壊して管理責任を問われたりします。

しかし、解体費用を払えないときの対策はいくつかありますし、解体費用の相場はすぐにわかります。

この記事では、解体費用が払えなくて困っている人へ、解体費が払えないときの対処法を3つご紹介します。
この記事を読むと、解体費用の捻出方法や解体費用の相場がわかります。

また、空き家を放置するリスクを理解した上で、誰が費用負担するのか、借地しているときはどうなのか、といった不明な点もなくなります。
この記事を最後まで見ると、空き家の解体を具体的に進められますよ。


監修者情報 印南和行
(宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)、一級建築士、一級建築施工管理技士、不動産コンサルティング技能士試験合格) 全国不動産売却安心取引協会 理事長。住宅専門チャンネル「YouTube不動産」が「わかりやすくて参考になる」と大好評でチャンネル登録者9万人、総視聴回数2100万回を超える(2023年5月1日現在)。著書に「プロ建築士が絶対しない家の建て方」(日本実業出版社)、「プロが教える資産価値を上げる住まいのメンテナンス」(週刊住宅新聞社)がある。


1 解体費が払えないときの対策3選

まず、解体費が払えないときの対策を3つご紹介します。

1)解体費用をローンで捻出する
2)解体費用に対する自治体の補助金を活用する
3)解体せずに土地・建物を売却する

1-1 解体費用をローンで捻出する

解体費用の捻出には、金融機関が取り扱っている空き家の解体専用ローンがおすすめです。

近年、空き家が社会問題化し、空き家解体のニーズが増していることを背景に、地方銀行やJAバンクなどで「空き家解体ローン」が商品化されています。

しかも、その多くが担保・保証人が不要で、金利も比較的低い商品です。
例えば、福岡銀行の空き家解体ローンの場合、担保・保証人は不要、金利2.9%、借入可能額10~300万円、返済期間7年以内となっています。

※上記については、金融機関に最新の情報をお問い合わせの上、ご利用ください

金融機関によっては取り扱いがなかったり、金利や借入可能額、返済期間が異なったりしますので、どの金融機関に申し込むのか、問い合わせて確認しておくことが大切です。

また、申し込む際も、解体費用の見積もりなど書類の準備が必要だったり、審査に要する時間も最大1ヶ月程度かかったりするため、早めに金融機関に相談しておきましょう。

1-2 解体費用に対する自治体の補助金を活用する

解体費用の負担を減らす最も効果的な方法が、自治体の補助金を活用することです。

国は、空き家対策をパッケージ化した「空き家対策総合支援事業」(平成28年度~令和7年度)を打ち出し、空き家解体に取り組む市町村に財政支援を行っています。

そのため、近年多くの市町村で空き家解体の補助金が創設されました。

※詳しくは、各自治体にお問い合わせください

補助金の対象となるのは、現に空き家で、過去は住宅として利用されていたもの、また近隣への危険性や悪影響を及ぼす恐れがある家屋です。

補助金の上限は30~100万円が多くなっていますが、市町村と金融機関が連携している場合は、補助金を活用すると解体ローンの金利が安くなるなどのメリットもあります。

補助金の名称や内容にも違いがあり、そもそも補助金制度を設けていない市町村もありますので、まずは空き家が所在する市町村に問い合わせてみましょう。

1-3 解体せずに土地・建物を売却する

空き家を解体する前に、土地も含めてそのまま中古物件として売れないのか、検討してみましょう。
売却できれば管理責任はなくなり、解体する必要もないため、最も合理的な方法です。

築20~30年ぐらいの物件であっても、中古物件の購入希望者はリフォームを前提に考えている人も多く、立地条件や建物の状態次第ではそのまま売れる可能性があります。

建物だけでは、あまり価格の期待はできませんが、土地と一緒に建物も買ってもらえば、解体費を負担する羽目になるより、はるかにリーズナブルな選択です。

空き家が売却可能かどうかは、空き家のある地域で仲介実績のある不動産会社や、「買取」も行っている不動産会社に相談してみましょう。

売れる見込みが少しでもあれば、売却に向けて価格の査定を受けるなど、不動産会社を交え詳しく検討するのがおすすめです。

2 解体費用の相場はいくらなのか

解体費用の坪単価目安は、
木造3~5万円、鉄骨造5~7万円、鉄筋コンクリート造6~8万円といわれています。
そのため、40坪の木造住宅であれば、120~200万円ぐらいが想定の費用になります。

ただ、解体費用は建物の構造のほか、搬入道路などの状況により重機やトラックが入れるかどうか、警備員の配置など人手がどれだけ必要かによって変わってきます。

建物だけでなく、敷地に庭石や庭木が多いと、その分撤去・処分費用も必要です。
また、依頼する解体業者が繁忙期かどうかや、地域の違いによっても違いが出ます。

いずれにしても、解体ローンや自治体の補助金申請にも必要になりますので、複数の会社から見積もりを取って、実際にかかる金額を確かめておくことが大切です。

解体費用の相場は、こちらの記事(シミュレーションも簡単にできる!家の解体費用の相場を徹底紹介)で詳しく解説していますので、参考にしてください。

3 解体費用を負担するのは誰

解体費用を負担するのは、原則建物の所有者です。

そのため、実家を相続したら解体する予定であれば、相続前の段階から相続人間で解体費用の負担を話し合うことが大切です。
相続人間で共有になれば、協議の上、費用を負担し合うことになります。

ただ、相続の話し合いは実家の建物だけでなく財産全般に及びますので、何かと煩わしいものです。
そのため、できるだけ事前に兄弟など親族間で実家の状況を共有することが、親族間のトラブルの未然防止にもつながります。

4 借地に建てた家の解体

借地に建てた家は、自己所有地の場合と異なる要素があり、注意が必要です。
まず、借地に建てた家であれば、多くの場合、借地契約終了時に、更地にして土地を返却しなければなりません。

借地権付き建物として売り出すことも不可能ではありませんが、地主の承諾が必要となるケースも多く、自己所有地のときと比べ、売却の難易度がかなり上がります。

売却が困難なため、解体費用が払えない場合は、まず解体ローンや市町村の補助金活用の検討が必要です。

また、借地契約に「建物譲渡特約」がある場合は、地主に建物の買取を請求できることもありますので、契約の内容を十分把握し、地主とも相談の上、解体を進めましょう。

5 空き家の放置リスク

空き家の「放置」は大きなリスクです。

空き家を放置し続けると、建物の老朽化は刻々と進み、最悪の場合、倒壊して近隣に大きな損害を与える可能性があります。
建物以外でもゴミ・悪臭などの衛生面、雑草、害虫処理などは、近隣トラブルの要因です。

また、空き家は大きな社会問題になっているため、国は対策を強化しています。
適切な管理が行われていない問題のある空き家は、自治体が「管理不全空家」や「特定空き家」に指定できるようになりました。

「管理不全空家」あるいは「特定空き家」に指定されると、自治体から所有者に対し、管理に対する助言・指導・勧告などが行われ、従わないと固定資産税が一気に高くなることもあります。

勧告に従わないと、最悪の場合、空き家の強制撤去(費用は所有者に請求)などの行政代執行にもなりかねません。
このように空き家を放置し続けることは、いたずらにリスクを大きくしてしまうのです。

6 相続放棄できないのか

相続放棄とは、相続開始時に遡って「最初から相続人ではなかった」として、遺産を一切受け取らないことです。
そのため、相続処理がまだなら、相続放棄という手法で空き家の「所有者」になることを回避できます。

しかし、相続放棄をしたからといって、必ずしも空き家を放置していいということにはなりません。
なぜなら、相続放棄しても、民法の規定により、財産を管理する者が決まるまでは、相続財産の管理義務が残ることがあるからです。

また、相続放棄は相続のすべてを放棄するため、遺産の取捨選択ができず、現預金などプラスの財産も相続できません。

さらに負担が別の親族に及んだり、すべての相続人が相続放棄したとしても「相続財産管理人」の選任に多額の費用がかかったりすることもあります。

このように相続放棄は、解体費用だけの問題に留まらず、デメリットも多いため慎重な判断が必要です。

7 まとめ

今回は、解体費用が払えないときの対策や、解体費用の相場、空き家の放置リスクなどを解説しました。

空き家になった実家などがあれば、まず売却できる可能性がないのか不動産会社に相談し、そのあとで解体費用の捻出方法を具体的に検討しましょう。

解体費用の捻出にあたっては、金融機関の解体ローン利用と、市町村の解体補助金活用が有力な選択肢ですが、金融機関や市町村に直接詳細を確認することが必要です。

解体にどれくらい費用がかかるかは、事前に解体業者から見積もりを取って、把握しておきましょう。
相続処理が終わっていなければ、解体するにしても、親族間での話し合いが必要ですので、状況を事前に共有することが大切です。

いかがでしたか。
この記事をみて、皆さんが迷うことなく、実家の解体や処分に取り組めることを願っています。


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